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みんなの広場

研究

2022.10.12

今の時期のクロアゲハの蛹をどうしようかと

参照記事「研究館より」

chappi

庭の柑橘に付くアゲハ幼虫の生存率がとても低いことに気が付いて、9月に一匹室内に入れ、無事羽化しました。次にタイムラプス動画を撮影したいと意気込んで、夏に目の前でクロアゲハ親蝶が産んで行った兄弟の生き残り3匹の終齢幼虫を室内に入れました。2匹はヤドリバエにやられていて、一匹が無事ですが、2週間半経過したのに羽化しません。黒ずんではおらず一度そっと息を吹きかけたらわずかに動いたので生きているようですが、寒さが急にやってきたので、この微妙な時期にどうしたらよいのかさんざん迷ってネット検索を掛けているうちに、この投稿にたどり着きました。知っているからこその謙虚さについて、分かる気がします。件の蛹は薄暗い玄関に置いているのですが、蛹になってから2週間近く気温は高いままだったのに、羽化していないということは、玄関の暗さが越冬スイッチの後押しをしていたのかもと思いました。こんな小さい動けない身体でちゃんと周囲を観察しながら生き残ろうとしているんだなと思いました。蛹化3週間目を過ぎて羽化しなかったら、野菜室に入れて春まで管理してみようと思います。冬に入って羽化されるのが一番心に堪えそうなので・・・。人間の都合でこの個体の運命をいじったので、自然に帰れるようにしたいです。
たくさんの研究成果が出るようにお祈りしております。そして知識をたくさん分けて下さい。ありがとうございます。

2022.10.12

1. 尾崎克久(昆虫食性進化研究室)

ラボ日記を読んでくださったとのこと、大変嬉しく思います。

アゲハチョウの仲間の場合、初齢から3齢くらいの若い幼虫が日々の暗い時間の長さを測り、基準より長くなって短日だと判断したら休眠するという仕組みになっていると考えられています。暗めの玄関で飼育されていたということですので、短日だと思って休眠しているのかもしれませんね。

実験的に確かめたわけではない個人的な印象ですが、休眠した蛹は、屋外の日光が当たらない場所に置くのが良い気がしています。生息地の冬の寒さを経験するのが、最も効果的に休眠を覚ましてくれるのかな?と想像しています。

日本の昆虫学は、多くの愛好家が蓄積した情報によって支えられて発展したという側面がありますので、また何かお気づきのことがありましたら、体験談をお寄せ頂けるとありがたいです。

2022.10.21

2. 中井彩香(表現を通して生きものを考えるセクター)

chappiさま

ご投稿いただきありがとうございます。
私たちも室内で飼育していたアオスジアゲハの幼虫が2匹
5月末に蛹になったまま、なかなか羽化しませんでした。
chappiさまのときの状況と同じく黒ずんではおらず、少し触ると
動くので、生きているんだと思いそのままそっと見守っておりました。

そして4ヶ月以上の蛹期間を経て、つい先日(10/17)
1匹が羽化し元気に食草園に飛び立っていきました。
室内は温度も日長の大きな変化はないので何がきっかけで
羽化のスイッチが入ったのかはわかりません。
しかしあの小さな蛹の中で生命を維持し続けていたことに
驚きと生きもののしたたかさを感じました。

同じ時期に蛹になったもう1匹は、まだ蛹のまま青々としています。
この子は一体いつ羽化するのか、引き続き見守りたいと思います。

2022.11.08

3. chappi

尾崎様、中井様、お返事ありがとうございました。アドバイス感謝申し上げます。玄関の靴箱の上で見守っていたクロアゲハ蛹は変化ありません(結局11月に入って本格的に越冬しそうです)。冷蔵庫に入れる勇気が出ず、かと言って、雨風や強い日差しが当たらず、鳥にも見つからないような場所を思いつかなかったので、苦肉の策ですが、段ボール箱に入れて、密閉はせずに、なるべく温度変化が少なそうな軒下に出しました。おまけに、鉢の受け皿を何枚か立てかけていた中で蛹化していたナミアゲハを見つけたので(危うく潰してしまうところでした(苦笑))、一緒に段ボール箱に入れました。さらに、柑橘の木に今年最後のナミアゲハ幼虫が一匹いるのを見つけました。このところの寒さで成長が遅いです。皆、寄生虫を避けてうまく越冬して、成虫になってくれると良いなと思います。近所の幹線道路沿いの街路樹にクスノキが3本あって、通ると良い匂いがします。アオスジアゲハは意識していなかったので、来年はよく観察して見つけてみたいです。

2024.05.15

4. Machiko

昨年9/23に蛹になったクロアゲハが 今年5/11現在 綺麗な緑のまま まだ
羽化しません 触ってもビクともしません 生きていて近々羽化するでしょうか 冬の間は暖房のない部屋の
直射日光があたらないところに置いていました カビがはえたり腐っている様子はありません

2024.05.15

5. Machiko

先日 問い合わせしたクロアゲハ
今朝 羽化しました
りっぱなクロアゲハです

2024.05.15

6. 尾崎克久(昆虫食性進化研究室)

越冬した蛹が羽化するまでは心配になりますが、待つしかないのが実際のところです。
蛹に触ってみて、いかにも中が空っぽになっていそうな軽い感じになっていれば死んでいる可能性が高いですが、そうでなければ生きているはずです。
冬の間に、休眠を消去するのに十分な寒さを経験していれば羽化してくれるはずですので、そっと待ちましょう。

2024.05.30

7. ゆずなみ

蛹になって今朝(5/30)で15日目のクロアゲハですが、まだ羽化の兆しが見受けられません。明日は雨風がひどいので、明朝羽化してしまってはと危惧しております。
今から野菜室などを利用して、羽化のタイミングをコントロールすることは可能でしょうか?
今年は近隣で蝶が少ない(昨年秋の蛹はことごとく寄生されていました)ので、一頭でも多く無事に自然に返せたらと考えております。

2024.05.30

8. 尾崎克久(昆虫食性進化研究室)

昆虫は変温動物ですので、経験した気温で発育速度が変動します。
クロアゲハの場合、24時間25度で安定している環境では、蛹化から10日で羽化します。15度で安定した環境では、30日かかります。
野外の場合、昼は暖かくても夜は涼しくなりますので、安定した温度の場所より日数がかかることが多くなります。

おそらく、見守っていていただければ適切なタイミングで羽化すると思いますが、羽化する時期を遅らせたい場合は、12〜15度前後の場所に置かれるのが良いと思います。冷蔵庫の野菜室だと、温度が低すぎて発育に良くない可能性があります。

当研究室では、羽化する時期を調節したい場合は、蛹を15〜18度の保温機に入れて管理しています。

2024.05.31

9. ゆずなみ

尾崎先生
丁寧なご回答、ありがとうございます。15度設定がなかなか難しいと手をこまねいておりましたら、今朝無事羽化し、天候回復を待って放蝶することができました。
また機会がある際には、室温にも気を配りたいと思います。
ありがとうございました。

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