研究
2022.05.07
『かたち』について
アマミナナフシ
「芋虫が蛹になると、その中ではまず芋虫の細胞全体がドロドロに溶けて、それから蝶が形づくられる。」(『文藝春秋』2月号【ポストコロナの生命観】 山極壽一先生と福岡伸一先生の対談より)
私にとってあまりに衝撃的すぎる話だったので生命誌研究館の『Ω食草園』にて「芋虫が蛹になるといったんドロドロに溶けて、それから蝶が形づくられる、って本当ですか?言葉として理解したけれど、イメージ的に理解しづらいです。」とスタッフの方に話してみました。不思議だけれど事実とのこと。
4月30日の橋本主税先生のレクチャー後の再度配布資料を読んでみました。
「『かたち』とは何かを問うと輪郭を持った固い何かについて述べようとする傾向が強い。(中略)生きものを『固定』する際にホルマリンなどが用いられるのだが、この薬剤も、生きものを構成する様々な高分子の間に架橋を作ることで、全体のかたちを『固く』している。普通なら水の中にプカプカ浮かんでいるタンパク質などを、近くにいる他のタンパク質や糖質・脂質などと強制的に結びつけられる。」(資料より)
タンパク質って普通水の中にプカプカ浮かんでいるものなんだ…。あれ…生きものって輪郭があっても基本ドロドロ、ブヨブヨしたものかもしれない…。(今回の私の発見)
やっぱり『言葉として理解したけれど、イメージ的に理解しづらい…。』
模索の旅は続きそうです。To be continued.
2022.05.07
1. 橋本主税(形態形成研究室)
研究員の橋本主税です。かたちの迷宮に迷い込んでしまったようですね。かくいう私もかれこれ30年以上、迷宮の中を彷徨っています。かたちの議論はかたちで終わることなく、はたらきを考えなくてはなりません。存在・意味・時間などなど多くのことも互いに絡み合う概念だと思っていますので、これから先も森は深くなってくるでしょうが、薄暗い森の中をふらふらと彷徨いながら時おり「あっ」と閃くときが快感でもあります。想いに耽って何かひらめきがありましたらどうぞお聞かせください。