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2021.12.03

これからの時代に向かって

参照記事「研究館より」

ピッコロ

名誉館長が十津川村に行かれたお話を楽しく拝読いたしました。現地に近づくほど、乗り物のスピードが遅くなり、森に囲まれた静けさの中でいろいろと思いを巡らせられたご様子。
効率、便利さを求めてきた私たちが代償として失ってきたものが懐かしいだけではなく、私たちにとって大切なのかを実感された旅だったのではないでしょうか。
当方はボランティア活動で小学生の森林教室のお手伝いをしておりますが、子供たちが森の中を歩いて様々なもの<植物・昆虫・キノコ・沢蟹など>を見るだけではなく、触覚・嗅覚・味覚などを通じて不断にない感覚が目覚めるのを感じます。
日本は森林大国ですが、森林の維持・管理はいろいろな課題があり大変です。 産業界で材木を使う機会を増やしていこうという動きにも大いに期待したいものです。
次の世代に人たちに日本の自然を良い形で引き継ぎたいですね。

2021.12.03

1. 中村桂子(名誉館長)

 森で子どもたちとの活動をなさっていらっしゃるとのこと素晴らしいですね。現場では、楽しいことも問題点も色々見えてきてたくさん考えなければならないご様子がよくわかります。実際に接することの大切さはそこですよね。物事にはよい面もあれば困ったところもあるとわかる。そこで考える。小さな発見をする。時には悩みが深まる。それが生きるということではないかと思うのです。何でも誰かが解決してくれて便利に暮らすのが本当に楽しいことかどうか。とくに、子どもと考えたいことですね。
 森で暮らすホモ・サピエンスの生活は平等でなければ成り立たないということが示されてきているところに、今興味を持っています。現代社会で最も気になるのは格差ですから。森から学ぶことたくさんありますね。

2021.12.07

2. やっちゃん

森の中で暮らすホモ・サピエンスの生活、というところに惹かれます。家も畑も放置すれば(人の手が入らなければ)自然に戻ります。ここ10年くらいは、そのスピードが加速した気がしますが、すぐに草が生い茂り木が育ってゆきます。見事な竹藪になっていることもあります。人が住むには難しいけれど、タケノコを目当てにやってくるイノシシを養っている、と思うと、この風景が大切なものに見えてきます。

2021.12.07

3. 中村桂子(名誉館長)

森の生活が基本であることは間違いないのですが、現代社会の軌道修正をどのような形で行うかはむずかしいですね。生命誌で考える私の発想は、森での生活の時のメンタリティーを持ちながら、そこに技術をどう持ち込むかを考えるということなのですが。ここで大事なのは、かつてのメンタリティーを持つ人が存在することです。ここがどうなるか。ポチポチ考えるしかありません。

2021.12.10

4. やっちゃん

かつてのメンタリティーを持つ人の存在…先住民の教えのようなものでしょうか?森の恵みをいただくときの作法は、根こそぎ取らない、半分は他者へ残す、いただいたものは余すところなく使い切る。自分も他者も生き続けるために。持続可能な開発も、これが起点だろうと思います。
 北欧には、みんなの森があると聞きます。だれでも入れて、そこにあるものを利用できる。基本ルールは他者への配慮。子どもたちも幼いころから森で遊び、学び、育ち合い、次世代へ繋いでゆく。厳しい寒さから人類が学んだ命の繋方だと感動します。

2021.12.10

5. 中村桂子(名誉館長)

 おっしゃる通りです。ラジオを聞いていましたら、コマーシャルで「家に帰る前に、外からスマホでスイッチを入れておける新しい空調機です。どうぞお求めを」と言っていました。二酸化炭の排出を抑えるのにどうしましょうと大騒ぎしている番組の後にこれです。おかしいですね。ところで、この話をあるところでしましたら、皆さんが、そのコマーシャルは知っているけれど指摘されたおかしさには気づきませんでしたとおっしゃるのです。言われてみれば確かにおかしいですねと。
 一事が万事ではないでしょうか。ため息が出ます。

2021.12.11

6. やっちゃん

一事が万事…ほんとにそうですね。宮崎駿監督が『風の谷のナウシカ』を出されてから、この地球上で一番厄介な生き物は人間ではないか?と問われている気がします。ボタン一つで空気が清浄になる?その仕組みも知らずに使っていたら地球環境が大変なことになっていた!式に。目先に捕らわれて、その先にある危険性がわからない。水俣公害で痛烈に批判された便利さの罠に、また絡めとられてしまうと危惧します。目先の「簡単」「便利」「手頃な価格」に飛びついてしまうことから脱するために…水・空気・リサイクルの視点をいつも念頭において…と考えますが、いかがでしょうか?

2021.12.11

7. 中村桂子(名誉館長)

宮崎さんのナウシカの原点は「蟲愛づる姫君」だと何かに書いてありました。とてもよくわかります。ナウシカと生命誌に共通点を感じますので。これからの社会を考える時の大事な視点ですね。丁寧に考えていくことだと思います。

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