研究
2020.09.11
ヒトにはわからない言葉
のびこ
蝶が卵を生む植物は、卵の害虫に見つからない場所であれば何でもいいのかと思っていました。
自分が食べる花の蜜ではなく、葉の味見をして、解毒能力があるかどうかを見極めることができるなんて、母の力は神秘で偉大だと思います。光の波長の向きや、匂い、色の違いをどのように見分けるのか……
食草が違う蝶が結婚できないことも、どうやってわかるのか……人にはわからない言葉を交わしているように思えたお話でした。
※8月の生命誌の催し「研究者の目で生きものを見てみよう 」にお寄せいただいたご質問、ご感想です。
2020.09.11
1. 尾崎克久(昆虫食性進化研究室)
"アゲハチョウの成虫は短命ですし、子育てをしませんので、幼虫が食べられる植物を正確に見分けて産卵場所を選ぶことが、母親が子供たちにかけてあげられる唯一の愛情と言えるかもしれません。(科学的な表現ではありませんが)
昆虫たちは、人間が見ることのできない紫外線領域や偏光を見ることができるので、我々とは大きく異なる視界が広がっています。例えば、ナミアゲハとキアゲハはそっくりに見えますが、キアゲハのメス成虫は紫外線を反射しているので、昆虫たちには全く別の色に見えています。花の蜜源の周囲にも、紫外線を吸収する場所があるので、人間には見えない模様があります。まさに、ヒトには解らない言葉で交信していると言えるかもしれません。