研究
2020.09.11
チョウの食草について
hal-co
チョウの食草について:我が家にあるシナノキに毎年オオミズアオ・幼虫がいます(成虫は庭で2回ほど確認)。今年はシナノキを伐採したところ,少し離れた場所に植えていたヘラノキに幼虫が2匹いました。同じシナノキ属なので食草として納得なのですが,オオミズアオは他の樹木も食草としているのに,私が住む地域では個体数が少ない(自生していない)シナノキ属を食草とした理由がよくわかりません。周辺には,サクラ属など個体数が潤沢にある食草があるにも関わらず。
特定の食草にこだわらないことで生き残るようにしているとして,その性質が数年で出てくるきっかけのようなものがあるのでしょうか。シナノキを庭に植栽して20年ほどになりますが,後半の10年ほどでオオミズアオ・幼虫を確認しています。その時はヘラノキには産卵はしていませんでした。
※8月の生命誌の催し「研究者の目で生きものを見てみよう 」にお寄せいただいたご質問、ご感想です。
2020.09.11
1. 尾崎克久(昆虫食性進化研究室)
当研究室のコンテンツを、色々と考えるきっかけにして頂けて何よりです。
広食性の種と狭食性の種では、植物に対する選好性の意味が異なるかな、と思います。広食性のオオミズアオは、その地域の様々な植物を利用していると思いますので、その中の一部個体がシナノキやヘラノキを食べているのではないでしょうか。広食性の蛾は産卵数が多くなる傾向がありますので、シナノキで観察されたのが数個体でしたら、大多数は別のものを食べているだろうと推測されます。おそらく、オオミズアオがシナノキやヘラノキを特別好んでいるということではないだろうと思います。
昆虫と植物の関係を調べるために開発している研究用ツールであるInsectInDBを公開していますので、こちらを使ってみていただけると新たな気づきがあるかもしれません。