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みんなの広場

研究

2020.09.07

江戸期渡来のミカン科植物とシネフリンなる誘因物質

おじじ

以前、ナミアゲハやジャコウアゲハで投稿した者です。
自分の住んでいる住宅地では、ミカン科の植物が多いので、個体数は少ないですが、色々なアゲハ蝶が見られます。
中でも、ナミアゲハが多いのですが、ヘンルーダという植物が食草になっています。
この植物は、江戸時代に渡来した、割と新しい植物ですが、現在はアゲハ蝶に好まれており、それはシネフリンという誘因物質にあると、ネットで知りました。
シークワーサーもナミアゲハはよく食べますが、最近では園芸種として庭でも栽培されており、これも明治になってから本土へ到来したものでしょう。
このことから、シネフリンという誘因物質は、アゲハの種にとって、世界中に普遍的な誘引物質という事になるのでしょうか。
この誘引物質は、十種類ほどあるとかかれてありましたが、地域別、国別に、誘引物質の好まれる傾向に違いが出てこないのでしょうか。もちろん、蝶の種類によって、この物質の好みはあると思いますが。

2020.09.07

1. 尾崎克久(昆虫食性進化研究室)

生の葉と同程度に産卵行動が誘導される植物化合物は「産卵刺激物質」と呼ばれていますが、どの化合物が産卵刺激物質として作用するかは昆虫種によって異なります。
ミカン科食性のアゲハチョウの仲間で、産卵刺激物質が同定されているのはナミアゲハ・シロオビアゲハ・クロアゲハの三種ですが、同じミカン科食性でありながら産卵刺激物質の組成(ブレンド)が異なります。種間で組成が異なりつつ、三種で共通する物質としてシネフリンとカイロイノシトールがあります。
この事から、ミカン科食性のアゲハチョウの仲間にとって、シネフリンは重要な物質なのではないかと推測されます。

同種内であっても生息する地域によって植物に対する好みに違いがあることも知られていますので、産卵刺激物質に対する選好性に違いがある可能性も考えられます。選択という明確な行動になる前の、ちょっとした好みの違いという段階が進化の過程で存在する可能性が考えられますので、食草転換を考える上で重要な点ではないかと思います。

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