季刊誌
2020.06.28
「重ね描き」
サファイア
始めまして、お便り失礼致します。
前館長中村佳子先生の「科学者が人間であること」を読み、生命誌のことや研究館の存在を初めて知りました。さらに今まで目を向けようとしなかった自然科学の世界にふれ、新しい扉が開かれたような充実感を覚えました。
中村桂子先生については、石牟礼道子の関係の講演を聞き、「苦海浄土」のあとがきを通して存じていました。
先日、書店へ行きましたところ、なぜか先生のご著書が目に留まり、タイトルにも魅かれ買い求めました。それからというもの今まで知ろうとしなかったことを悔いつつ、知るべき時は今だったんだと納得させつつページを繰り続けました。
社会科学的な分野には関心を持ち、自分なりに人間としての生き方を模索してきたつもりですが、自然科学的な観点から物事を考える視座は持ち合わせていませんでした。しかし、ご著書から社会科学、自然科学と二分することにもあまり意味がなく、「重ね描き」と表現されているような考え方が大事ではないかと気づかされました。さらに「研究者はまず生活者であり思想家であること」にも大きくうなづきました。このことが欠如していることで社会に多くの不幸をもたらしている現状があります。研究者に限らず政治家など先に立つ人々には絶対的に必要な資質ではないでしょうか。他にもこころ揺り動かされる考え方に満ち溢れていました。
目の前に開かれた扉に足を踏み入れ、歩を進め、これから導かれる世界が楽しみです。
生命誌を初めて知ったものが応募するフォームではないと思いますが、中村桂子先生に出会った喜びを是非お伝えしたいと思いペンをとってしまいました。
今の閉塞状態が解かれた時は真っ先に生命誌研究館をお訪ねしたいと楽しみにしています。
ありがとうございました。
※季刊「生命誌」「あなたの声をお寄せください!」コーナーにいただいたお便りです。
2020.06.28
1. 村田英克(表現を通して生きものを考える)
是非、一度ご来館ください。いろいろ考えるきっかけがここで見るかるとよいなと、思っています。
2020.06.28
2. 中村桂子(名誉館長)
お便りありがとうございます。初めてお読み下さったとのことですが、私の思いをそのまま受け止め、ご自身の言葉で考えて下さっているのがすばらしく、とてもありがたく思います。これからも、その時々にお感じになったことをホームページに書いて下さったら、またお返事しますね。