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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【春たけなわ】

2018年4月2日

村田 英克

春たけなわ。一昨日の朝、普段は聞きなれない小鳥の声で目を醒ましました。コロコロというかホロホロというか、少し丸味を帯びた高い声で、軽やかな爽やかな囀りです。謡っているようにも聴こえて、目をつぶって布団に横たわったまま染み染みと声に聴き入っていると、桜の花、梅の枝、椿をチョン、チョンと順に巡って、向こう側の池へと遠ざかったようでした。すると今度は、やや遠くから、キーン、キーンあるいはケーン、ケーンと針のように細長く鳴く声が一つ聴こえます。やがてそれは雀たちのチュンチュンいう話し合いに埋もれてゆきました。ここで起き上がってカーテンを開け、戸を開けてベランダに出ると、目の前の桜の花びらをつついていた小鳥たちは、慌てて、通りの向こう側で満開の桜に囲まれた池のほうへと飛んで行ってしまいました。池の空をカモが4、5羽、グウェッ、グェッと絞り出すような声を発しながら飛んで行きます。どうやら「向こうの川で朝飯だ」と言っているようです。この朝、ふと「春たけなわ」という言葉が頭に浮かびました。風に舞う桜の花びらを眺め「竹生島」の謡を思えば、さらに目の前に「近江のうみ」まで広がる心持ちです。昨日の朝もほぼ同じような流れで、ホロホロ、キーン、チュンチュン、グウェッ、グェッと贅沢な春到来の朝の一時を過ごしました。日が昇り空が白み始めるとすぐに鳥たちの一日は始まるようです。さて今朝もと思って、窓の外が明るみ出した頃から待ち構えていて、最初のホロホロが始まったところで、そっと戸の隙間から外の音を入れて耳を澄ませていると、ゴォエッ、ックション、ックション、アー!と通りを駅に向かうおじさんのくしゃみが飛び込んできた。やられてしまいました。花粉症でしょうか。

季刊生命誌96号で始めた読者アンケートで、早速、いろいろな声をお聴かせ頂き、ありがたく皆で拝見しております。いろいろと考えさせられる内容も多いので、引き続き、様々な角度からの言葉をお聴かせ願います。

[ 村田 英克 ]

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