展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【チョウの記録】
2017年7月3日
前回の表現日記で、食草園にチョウの記録シートを設置したことを書きました。3ヶ月の記録を振り返ってみると・・・
- 3月13日
- ジャコウアゲハのさなぎの抜け殻を発見。
羽化したのならずいぶん早い。 - 4月14日
- キアゲハとジャコウアゲハが羽化。
今期はじめて羽化の瞬間に立ち会う! - 4月18日
- 羽化後間もないジャコウアゲハがウマノスズクサに産卵。
翅を伸ばしきれず飛べない個体が、最後の力を振り絞っていた。 - 5月8日
- ナミアゲハの幼虫がレモンに6匹。
5月24日一度にいなくなる・・・ - 5月26日
- ナミアゲハの幼虫がキンカンに6匹。
6月2日から徐々に減り、6月7日全ていなくなる・・・ - 6月14日
- ナミアゲハの幼虫がキンカンに1匹。
終齢幼虫になったが6月25日いなくなる・・・ - 6月26日
- ナミアゲハの幼虫がミカンに6匹。
すくすく成長中!
4月中旬から下旬までは、ジャコウアゲハとキアゲハが羽化ラッシュでした。展示ガイド中、来館者の方に羽化の瞬間を見ていただけた日もありました。「感動した!」という声がうれしかったです。5月からは、ナミアゲハの幼虫がたくさん育ちました。成長を確認しつつ見守り続けましたが、終齢幼虫になった個体は半分もなく、さなぎになった個体はまだ一つも見つけられていません。生き残る厳しさを感じる日々です。
来館者の方もシートに記入してくださいました。その中にこんな質問をいただきました。
チョウの大きさを見ていると、クロアゲハはいつも同じ位の大きさだが、キアゲハは4月はじめはモンシロチョウ大で、日が経つと通常サイズになるようだ。なぜ大きさが区別されるのだろう?
「チョウが食草を見分けるしくみを探るラボ」の尾崎研究員に聞くと、キアゲハやナミアゲハでは、越冬した後に羽化する春型のチョウは、春から夏にかけて育つ秋型に比べてずいぶん小さくなるそうです。春型のクロアゲハも小さいですが、ナミアゲハやキアゲハに比べるとその差はさほど大きくありません。調べてみると、チョウの大きさの違いは、幼虫のときに食べた葉の影響などがあるようです。さなぎの大きさも違うはず。食草園でもその違いを観察してみようと思います。
食草園にお越しの際は、ぜひチョウの記録シートにひとことご記入ください。食草園からまちへと、チョウと食草の研究活動をひろげる取り組みも考えていきます。これからもどうぞよろしくお願いします。