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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【紙飛行機に挑戦】

板橋涼子 季刊生命誌(BRHカード)の最新号は、お手元に届きましたでしょうか。年度始めの号は決めることが多く大変だろうという不安はあったものの、「遊ぶ」というテーマが良かったのか、遊び心溢れたアイデアを出し合いながらテンポ良く企画を進めることができました。
 年度始めに一番悩むのが、BRHカードの「付録」です。王道であるペーパークラフトに始まり、ポップアップ、しかけ、やじろべえ、モビール等。世の中の紙細工はやりつくしたんじゃないかと思いながらも、ペーパーエンジニアの坂さんと数ヶ月に渡り表現方法を探し続けて思いついたのが「紙飛行機」です。テーマが「遊ぶ」だし、まさにうってつけ!
 しかし、ただ生きもののデザインの紙飛行機を飛ばすのでは、生命誌ではありません。飛ばすことで、生きものの不思議を実感できるテーマは何だろうと考え、頭をよぎったのが「生きもの上陸大作戦」です。5億年前、水中から陸上へ進出した生きものは、やがて空中を移動の場として活用します。上陸大作戦からアイデアを展開させて「空飛ぶ生きもの大作戦」を紙飛行機のテーマとしようと考えたのです。第一回目は、恐竜から鳥類に至る進化の中間過程にある「ミクロラプトル」をとりあげました。これまでにも化石を手がかりにミクロラプトルの飛翔の様子を復元しようという研究がいくつかあり、それによるとミクロラプトルは、鳥のような羽ばたきはできないものの木から木への滑空はできたようです。子供の頃から大好きだった恐竜を記事に出来るということで、ワクワクしながら文献をあたり、そこからストーリーを作っていきました。
 この日記を書いている途中に、坂さんのホームページをのぞいてみたら、紙飛行機の制作報告がアップされていました。紙飛行機は競技会があるほど奥が深い分野で、坂さんの試行錯誤(長く滑空させるための技術的な部分)の大変さがうかがえます。設計はもちろんのこと、組み立てる時にも専用の接着剤やクリップなどを使い十分に気を配るとよく飛ぶものができるようです。是非、組み立てる時は、坂さんのホームページを参考にしてみて下さい。
 試作段階では、BRHのホールや駐車場で飛行テストを行い、その光景はまさに「遊ぶ」姿だったようで、通りすがりの方に「楽しそうだね」と声をかけられました。皆さんも私たちが「真剣」に遊びながら作った愛らしい顔のミクロラプトルを組み立て、広い空のもとで飛ばしてみて下さい。

 [ 板橋涼子 ]

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