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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【生命誌を通じた出会い】

斉藤わか あっという間に春が過ぎ、いつもより早い梅雨入りとなりました。春からずっと山を歩いていると、植物が葉を開き、花を咲かせ、順調に季節をめぐっているのを目の当たりにすることができて嬉しくなります。そんな植物たちと同じように「季刊」生命誌も季節をめぐっているわけですが、SICPではもう70号の編集が走り出しています。68号で初めてリサーチを担当したときは予想をはるかに上回る大変さで、周りに支えられて何とか終わったという感じでした。私の専門は植物生態学ですが、リサーチで取り上げた植物遺伝学の分野とは、扱っているものは同じでも切り口が全く異なります。でもクサナギカズラの葉を、発生の過程を追ってじっくり観察するという中山さんの姿勢には、同じ研究者としてよい刺激を受けました。野外で実際生きている植物のふるまいも、遺伝子という見えない分子レベルでのはたらきがあって実現されているんだろうなぁとイメージするようになりましたし、より注意深く植物を観察するようになりました。
 こんな経験から、まだ見ぬ研究との出会い・研究者の方との出会いはかけがえのない財産になるということを知って、70号でもリサーチを担当させてもらいました。68号の植物の研究とは違って、今回取り上げた生き物はまったくの専門外ですが、多細胞動物の進化を考える上ではずせない役者です。取材に行った先生のラボで実際に「生きている」姿を見せていただいてとても愛おしく思えるようになりました。先生も素敵な方で、研究や人生の話をいきいきと語ってくださって、とても楽しい時間を過ごさせてもらいました。この楽しさをどれだけ表現することができるかが、これからの頑張りに掛かっていると思うと身が引き締まります。苦しみながら楽しみながら、むずかしい編集を進めていきたいと思っています。公開はまだまだ先の話ですが、70号ではあっと驚く生きものの姿をご紹介しますので、どうぞご期待ください。

 [ 斉藤わか ]

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