展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【Ω食草園写真展】
私はΩ食草園開設以来、週に1〜2度の手入れをしています。その折々に、見た事のない蝶や他の昆虫、植物などいろんな可愛い生きものの表情に出会う事が出来ました。 夢中で下を向いて作業をしている時の事でした。スノコの床に何やら影が動いたので見上げると、それはナミアゲハの来訪でした。慌ててカメラを持ちシャッターを切りました。恐らく館内では誰よりも長い時間、この食草園にいる私がこの貴重な自然の様子を撮らなくてはと思い、カメラを身につけて作業をしています。 今年は春から数回カラスザンショウとミカンでナミアゲハが育っています。現在(8月19日)はカラスザンショウに3匹の3齢幼虫がいます。他には、ツマグロヒョウモンの幼虫7、8匹がタチツボスミレの葉を食べた後、他の野生のスミレの茂みで育っています。蛹から蝶へとうまく変態してくれればよいのですが。春のパンジー、ビオラがたくさんあった頃には姿を見せなかった様です。小さな体で素早しこく飛ぶイチモンジセセリはよく来ています。館の前庭にはアオスジアゲハの食草のクスノキがあります。アオスジアゲハは、ここへ来た後に、4階食草園までたまにやって来ています。クマゼミも来ていました。9月前後のふと秋を感じる頃にはルリタテハが来ます。翅の表は瑠璃色、裏は古代裂を思わせる蝶です。このように研究と表現をつなぐ場である食草園は、蝶を通して地域とBRHをつなぐ場にもなっています。 Ω食草園写真展「BRHで育ったチョウたち — 生きもの愛づる日々から」は10月30日まで開催しています。写真選びは慣れない作業で大変でしたが、撮影時の情景が浮かび、随分思い出す事が多かったです。 写真を楽しんだ後は階段を登って、4階のΩ食草園を覗いてください。運が良ければ遊びに来た蝶に出会えるかもしれません。更には、皆さまの辺りで昆虫と植物のつながりに気を配って下さったら嬉しく思います。 Ω食草園写真展の様子。蝶と食草の写真集や参考図書もご覧になれます。 |
[ 藤田美子 ] |