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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【今、悩ましいこと】

板橋涼子 今年も残すところあとわずか。今週から気温がぐっと下がるらしく、本格的な冬到来です。現在、2月末完成に向けて展示制作に没頭しており、上陸作戦物語の軸に、イラストやしかけ、標本などさまざまな具体が加わり、ゴールがようやく見えてきました。ところが、一つの仕事に集中すると時間が経つのを忘れてしまい、周りの状況も見えなくなってしまいます(自分の悪い癖です)。忙しくても、色々仕事をこなして、自分の中で回していかないとSICPスタッフとは言えません。そこで、64号の季刊誌(クロス)の担当を「やります!」と立候補し、先日千葉大学に、蘇ラボの楠見さんと取材に行ってきました。久しぶりの遠出です。
 取材相手は楠見さんが以前から興味を持っていた千葉大学の先生です。千葉大で二人を引き合わせ、取材しようということになりました。楠見さんは、小笠原諸島のイチジク植物の系統解析、千葉大の先生は、熱帯性植物の分布を研究しています。二つの研究をどう重ねるのかは季刊生命誌64号のお楽しみですが、少しだけご紹介すると、楠見さんも千葉大の先生も、生きものごとのDNA配列やアミノ酸配列を比較し、その違いから種の分化を探っています。そこに必ず出てくるのが、現生の生きものが祖先種からどのような順番で分岐したのかを示す「系統樹」です。一緒にBRHカードをデザインしてくれる坂さんに、以前、「系統樹ってそのままの表現しかできないからデザインの工夫が難しい。それ以外の表現ってないの?」と聞かれたことがあり、私は何とも答えようがなく、ずっと悩ましいと思っていました。
 確かに研究成果として系統樹は重要ですが、そこで伝えたい本質は、生きもの同士の関係、さらに「時間の中でどのように変化することで新たな種を生み出したのか」にあると思います。生きものは、環境(空間)の中で生きているので、それをイメージすることも必要です。その具体案は、絵巻なのか、地図なのか、それらを組み合わせたものなのか・・・まだこれという妙案が浮かばず悩ましいのですが、考えることを楽しみながら有意義に年末を過ごします。

P.S 1月16日(土)に、楠見さんの研究員レクチャーがあります。新しい種がどのように生まれるのか、小笠原のイチジク植物を例にお話します。興味がある方は、是非研究館へいらして下さい。


 [ 板橋涼子 ]

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