展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【学生セミナーでのポスター発表を終えて】
私は今、様々な生き物の遺伝子について研究者が解析した成果を収集し、まとめているため「当の研究者たちがこの研究をどんな風に受け止めるのか、そろそろ反応を知りたい」という動機で参加を決めました。といっても研究の進行状況は、一番身近なラボの先生ですら「え、ポスターだすの?勇気がありますね」と驚くような段階。「いや、自分でやりたいと思えるタイミングだから、何かリアクションを掴めるはず」と自分で自分を焚き付けながらポスター準備期間が過ぎていきました。 今年は今までとはひと味違った“ポスターツアー”形式の発表で、座長の誘導に従って参加者が順々にポスターを巡り、自分の番がきたら前に進み出て5分以内で発表をすることになっていました。いざ自分の出番。予想外に多くの聴衆の視線を一度に浴びるこの展開に一瞬とまどったものの、5分はあっという間に終了。そして結果は・・・。自由討論タイムも含めポスターの前に立ってくれた人を10として、呆然とした表情の人が8、ポスターをじっくり見てもらった&コメントをくれた人が2という感じでしょうか。 研究者からのコメントで特に考えさせられたのは、「地道な整理作業の節目をどこと踏まえていて、このような仕事を今後どんな立場でやっていくつもりなのか」ということでした。これは以前から自分でもよく考えていたことでしたが、いざ研究者に説明しようとするとなかなか上手い言葉が出てこず、日頃いかに適当な表現で思考しているか痛感させられました。逆に研究者が黙ってしまったときには、どのポイントで疑問や違和感を抱かせてしまったのかを相手のリアクションから汲み取るなど、私なりに研究者に通じる表現を考えては試す2日間でした。そうしたやりとりが、当初の目標である、自分が情報整理をしながら身につけてきた感覚と研究者の日常感覚の間のズレを掴むことにつながったので、思い切ってポスターを出して本当に良かったと今は思っています。セミナーから帰るとちょうどカレンダーが11月に。秋空にくっきりと映えた富士山で私も気持ちを切り替えて、研究再開です。 | |
[ 坂東明日佳 ] |