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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【オイカワを育てる】

1999年10月1日

 実は、小学生の頃、水産の生物が好きでいろいろと飼育していました。特にカニが好きで、標本も作ったほどです。魚も大好きで、フグやカワハギ、キス、ベラ、タイ、コチ、ウグイ、タナゴ、フナ、ギギ、ブラックバス、ウナギなど、海水、淡水を問わず、とれるものは何でも飼いました。他にもウニやヒトデ、イソギンチャクなどを飼育した憶えがあります。
 今ではそんな情熱も失せてしまったと思っていたのですが、夏休みに子供達を連れて近くの川に水遊びに出向いたとき、魚がたくさん泳いでいるのを見て幼少期の血が騒いでしまいました。早速網を購入し、童心に帰って魚とりに熱中してしまいました。現在、家の水槽で飼育中です。
 魚はオイカワといって、形は実にシンプル。まさに典型的な”魚型”で、唯一の特徴は尻鰭が大きいことくらいです。メタリックの赤や緑、青色が混ざった婚姻色はとても美しいのですが、とらえたのは6センチくらいの幼魚と1センチくらいの幼魚で、婚姻色を呈するにはまだまだ日数がかかります。したがって、銀色の小さいのが20匹くらい群をなしている中に、やはり銀色のやや大きいのが2匹我が物顔で泳いでいるという状況です。
 特徴がないのが特徴というような魚なのですが、どうもこいつが好きで、朝晩餌をやりに行くとつい長時間眺めてしまいます。水面に急浮上して、餌をとり急潜行する。餌をやると、一斉にこれをするので、水槽の中はにわかに大忙しになりなります。この賑やかさが何とも言えず楽しいのです。
 飼育が簡単なのも気に入っています。雑食性なので、よくある金魚の餌を一日1,2回与えるだけで十分だし、水質にもうるさくないので掃除もほとんど必要ありません。藻が生えても、食べてしまうので大丈夫です。もちろん、温度管理もいりません。
 熱帯魚のような派手さや美しさはなくても、親しみや懐かしさを感じさせてくれる身近な川の魚が私は好きです。
[鳥居信夫]

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