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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【いろいろとご報告】

龍田勝輔 先月(11月16日)、尾崎ラボの研究内容がNature communicationsという雑誌に掲載されました。ラボ設立当初から掲げた研究テーマの一つの集大成となる論文です。BRHからプレスリリースを出したのですがその反響はすごく、多くの新聞社から取材が来ていました。ラボ日記を読む方々はすでに新聞等でご覧になっているかと思います。さらに、隣の小田ラボにいた金山君の仕事も今年の10月に同じ雑誌に掲載されています。BRHのような大学等の研究機関と比べると小規模な研究所で1年に2報もNature姉妹紙に掲載されたのもすごいことですよね。
 私としてもBRHに来て関わった仕事が論文になって嬉しい限りです。尾崎さんや吉川先生の喜びはひとしおだったと思います。掲載決定後のミーティングでの吉川先生の笑顔は忘れられません。この仕事に関わって良かったなと思ったのと同時に、私はラボに来て3年弱なので、やっぱり喜びの重みが違うなぁ、とも思ってしまいました。
 この場を借りて、この論文に関わった全ての方に御礼申し上げます。
(両掲載内容は「論文一覧」でご覧いただけます。)

 実は、論文の掲載が決定した時、私はEsito (European symposium for insect taste and olfaction)という国際学会に参加しており、ロシアにいました。昆虫の味覚・嗅覚研究者が集まる学会です。そこで2年半BRHで行ってきた研究内容(主にナミアゲハの電気生理実験)をポスターにて発表しました。数人の方がポスターを見に来てくださり、慣れない英語で説明したのでかなり疲れたのを憶えています。ゴキブリの味覚を電気生理学的手法で研究されている方がいて、実験の苦労も同じなので、その方とのディスカッションは楽しく、充実したものでした。
 海外の研究者の発表を聞いて、今後の昆虫の味覚・嗅覚研究の在り方や方向性などかなり参考になりました。一言に味覚・嗅覚といっても様々な研究分野、手法があり、それらの研究内容を聞いて、研究者としての立ち位置というか、自分がやりたい研究は何かを再確認できました。また、今後やりたいと考えていたテーマなどがすでに海外で行われておりちょっと悔しい思いもしましたし、最近、私がショウジョウバエを使って行っていた研究と似た研究があり焦りもしました。沢山の情報や刺激を受けた、とても有意義な学会でしたが、もっと英会話ができる状態で参加すべきであったと反省しています。

 最後に、12月17日に研究員レクチャーにてナミアゲハの産卵刺激物質受容システムに関わる研究内容をお話します。参加無料ですので、興味のある方は是非ご来館ください。ナミアゲハはミカン葉に含まれる複数の化合物を認識して初めて葉に産卵するのですが、なぜ複数の化合物が産卵に必要なのか?という疑問に対する答えを、これまでの研究結果を元にご紹介します。


[チョウが食草を見分けるしくみを探るラボ 龍田勝輔]

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