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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【電気審判機】

秋山-小田康子
 北京オリンピックを見ていて選手の活躍とは別の次元で感心したのが、フェンシングの判定に用いる装置。なんだか、電飾のピカピカした未来空間のようなところで試合をするのだな、と思って見ていたら、剣で相手を突くとポイントを示す電気が灯りました。電気審判機というのですね。どうやら、剣と相手のウエアが接触すると、電気が流れる仕組みになっていたようです。おそらく誤審を防ぐために作られたものなのでしょう。「ホームランなのかファールなのか」、「一本なのか技ありなのか、はたまた、返し技だったのか」など、本来ルールできちっと決められているはずなのに、スポーツの様々な場面で判断が難しく、時に誤った判定が下ることがあります。そしてそこには、審判と言えどやはり人間、主観や偏見のようなものが入り込んでしまったためとも感じられることがあります。そのような中で電気審判機というのはなんと画期的な、と感じた訳です。もっとも、機械も完璧ではないでしょうし、誤審?のために語り継がれるようになった試合もあり、機械に味気なさを感じない訳でもないのですが。
 さてさて、研究の世界でも審判のような立場の方に、仕事をジャッジされることがあります。論文を投稿してもそうですし、研究費の申請やポジションに応募するときにも、そのようなことがなされます。もちろん私は評価される側であって、する側ではないのですが、評価するのは非常に難しいのだろうなと思います。既になされた研究に対して、最も適した方法で実験がなされ、結果が論理的に導かれ、正しく解釈されているのかを判断することは、力のある研究者にはそう難しくはないでしょう。しかし、ある研究が今後どのような影響を及ぼしていくのか、その研究をきっかけとして何が発展していくのかということは、時に想像を超えています。おもしろいという感覚もひとそれぞれ違うでしょう。やはり、完全に客観的に判断することは難しいと思います。とはいっても、これが良い研究なのか、どうなのか、まさか機械に審判してもらう訳にはいかないのでしょうが。



[ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ 秋山-小田康子]

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