研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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こんにちは。6月といえば,梅雨です。
でも今年は梅雨の前に台風が近づいてきたりして,なんだか調子がくるいますね。「『例年通り』っていう内容も,だんだん変わっていくのかなぁ。そもそも,例年通りって,どれくらい昔のデータから出してるんだ…?」なんてことを考えてしまいました。
こちらのラボでは,ただいまベビーラッシュです。これは『例年通り』のこと,春に捕まえたチョウたちの子どもです。
ナミアゲハたち:食欲旺盛な終齢期を経て,ぞくぞくとサナギに変わっています。
ギフチョウたち:すでにサナギになって,来年の春までおやすみです。
ゴマダラたち:ひとあし早く,みなさん大人になりました。実験室見学ツアーで見かけた方もいらっしゃるのでは?
そして今日,あらたな仲間としてミカドアゲハが加わりました。ミカドアゲハは,このあたりでもよく見かけるアオスジアゲハの仲間です。食草は,オガタマノキやタイサンボク。『ご神木』のイメージが強いでしょうか。漢字で書くと「招霊の木(おがたまのき)」。神様もミカドアゲハも呼び寄せちゃう木なんですね。
ただ残念なことに,ミカドアゲハは南方系のチョウ。このあたり(大阪)では,めったに見ることがありません。でも,それは現在の話。これから『例年通 り』が変わっていって,関西にミカドアゲハが住みつく日も近いのかもしれません。実際に,日本の北部へ生息範囲を広げているチョウは少なくありません。ナ ガサキアゲハやツマグロヒョウモンなど,このあたりで今では普通に見られるチョウも,50年前は南方限定のチョウだったそうです。
温暖化が生きものたちの生活に影響することは確かです。でも,それが良いか悪いかは別にして,『住める場所,子どもを残せる場所をどんどん広げよう!』とする生きもののパワーに,私はとっても感心してしまいます。
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[昆虫と植物の共進化ラボ 山田 歩]
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