1. トップ
  2. 語り合う
  3. 【フナムシ採集】

ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

バックナンバー

【フナムシ採集】

 ゴールデンウイークの最終日、フナムシ採集に行ってきました。海に行ったらどこにでもたくさんいるし、研究材料として都合がいいのではないかと思って、2年ぐらい前にフナムシを動物進化の研究に使い始めたのです。
 今までは京都大学の瀬戸臨海実験所(和歌山、白浜)で採集させてもらっていたのですが、高槻からはかなり遠いので近場でどこか採集できるところがないかなと考えました。そこでまず、甲子園球場の近くの鳴尾浜に行ったのですが、テトラポッドにわずかにはいたものの、釣り客が多かったことと、かなり危険な場所であったこともあってそこを断念しました。それからは、西へ西へと、フナムシを求めて車を進めたのですが、ほとんどの海岸線がコンクリートの岸壁で、所々テトラポッドがあって、フナムシがいそうではあるのですが、危険だったり、海岸線まで近づけなかったりしました。須磨海岸もフナムシが採れるような場所がなくあきらめ、そしてたどり着いたのが、明石でした。
 驚いたことに、そこには人工の岩場がありました。大きなきれいな岩が岸辺に様々な形に組まれていて、磯採集ができるようになっていたのです。何組もの親子が岩から岩へ何か生き物を探している様子でした。私もフナムシを求めて探しましたが、見事に皆無でした。カニと貝がほんのわずかにいただけで他の生き物もほとんどいませんでした。
 フナムシの採集をほとんどあきらめていた時、人工岩場から500mほど西のテトラポッドでフナムシの群集を見つけました。ほとんどの雌個体が抱卵していました。釣り客や遊びに来ていた子供たちに怪訝な目で見られながら、フナムシ採りに夢中になりました。
 フナムシが、人工岩場に住み着くのはいつになることでしょう。




[ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ 研究員 小田広樹]

ラボ日記最新号へ