館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。
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ローストビーフをさりげなく
2018年6月1日
このところ休日は「ふつうのおんなの子」とつき合ってきたものですから、社会で起きている大事よりも日常に眼が向きます。
そのような生活の中で、この間の日曜日は家人の職場の方たちがやってきてバーベキューを楽しみました。その中の一人(男性)が「お肉が焼けるまでの間にどうぞ」と言って出して下さったのがローストビーフ。バルサミコソースとニンニクと新玉ねぎのソースつきです。「昨日焼いたんです。もちろんソースも手づくり。」とのさりげない言葉にエッ?です。「単身赴任を続けているうちにだんだんお料理をするようになって。ローストビーフはオーブンに入れとけばいいだけですから簡単です」と更にさりげないのです。
単身赴任がふえているのはあまりよいこととは言えませんが、こういう効果はよしですね。でも誰でもそうなるとは限らないのだろうなあとローストビーフをおいしそうにいただいている家人の方をチラと眺めた次第です。
昨年の「生命誌トーク」で土井善晴さんとお話をし、一汁一菜の極意を伺いました。専門家には男性がたくさんいらっしゃいますし、お料理には向かないと決めつけずに、これからでも遅くない。少し譲ったら意外な才能を発見できるかも知れないと、ちょっと期待する気持も出てきました。
それにしても美味しいものをいただきながらゆったりした時間を持つのはよいことですね。
(もっともあまりのんびりしてはいられません。大事の方にも眼を向けなくては。悪い奴ほどという世の中にしてはいけませんから。)