館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。
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【一杯やりましょう】
2012年8月1日
夏休み前のこの時期、毎年小学6年生とのやりとりをします。以前にも書いたような気がしますが、国語の教科書に「生き物はつながりの中に」という文を書いているので、それを読んだ子どもたちから手紙が来るのです。今年も300通以上来たのではないかと思います。短いものですが、一人一人に返事を書いているとそれぞれの地域の様子が浮かびます。なかには6年生は3人という学校で、皆の写真を入れてくれることもあり、きれいな山を背景にした笑顔を見ると、こういうところで子ども時代を過ごすのっていいなあと思います。でもたくさんの手紙の中に必ず、ぼくは、私は、死にたいと思っていたという手紙がいくつかあるのです。時に“いじめ”が原因のものもあります。幸い、“つながり”ということを勉強したら死んではいけない、生きることが大切だと思うようになったと書いてくれており、一人一人に向き合うことがほんの少しでも役に立ったかなと思っています(こういうのを自己満足って言うんだよなと思いながら)。
そんなことで、この時期は子どもたちとのやりとりを楽しむのですが、昨日はちょっとびっくりする手紙をもらいました。大島(東京都大島町)の男の子なのですが、「・・・ぼくは生き物をむやみに殺さないようにした方がいいと思います。桂子さんは生き物のことをよく知っているのでぼくも参考にしたいです。こんど生き物の話をしながら一杯やりましょう。」思わず笑っちゃいました。お父さんたちがそう言っているのでしょうね。残念ながら私は根っからの下戸なのですが、この一杯なら受けて立てそうですし、受けて立たなければなりません。本当にいつか話し合いたいなと思っています。