館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。
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偶然と必然の微妙な組合せ
2012.5.1
近く全国で金環蝕が見られるということで本屋さんにもたくさんの本や雑誌が並んでいますが、日蝕のたびに地球と月と太陽の関係のふしぎさを思います。月がちょうど太陽を隠すようになっているのですから。それぞれの大きさと距離は独自にきまっているのに、それがたまたまこの関係になっている。月が大き過ぎても小さ過ぎても金環蝕という微妙な現象は起きないでしょう。しかも地球と月の間の距離は変化しているので、今、人類が地球に存在し、観測している時にこの関係になっている・・・そう思うとこの自然の偶然にふしぎを感じてしまいます。 科学は必然の因果関係を探りますが、すべて必然だったらつまりません。そうかと言ってすべて偶然では物事の理解のしようがありません。生きものは調べれば調べるほど偶然と必然の組み合わせが微妙と気づかされます。それゆえにこんなに魅力的なのでしょう。 【中村桂子】 ※「ちょっと一言」へのご希望や意見等は、こちらまでお寄せ下さい。 |