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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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【夏休みですね】

2007.8.1 

中村桂子館長
 夏休みが始まりましたね。研究館へも休みを利用して来て下さる方がふえます。サマースクールもあり、賑やかです。私も8月半ばに一週間ほどの休みをとるつもり。子どもの頃のあのワクワクさはありませんが、ちょっと特別の気分にはなりますね。今年は梅雨が長く、はっきりしないお天気が続いていましたが、7月末の週に入ったら、例のクマゼミのシャーシャーが始まって、あゝ夏だと思いました。その前の週末、東京へ帰る時まではまったく鳴いていなかったので、区切りがはっきり。シャーシャーで夏を感じるとは、私もすっかり関西人になったものです(と自分では思ってもきっと地元の人は認めては下さらないのでしょうけれど)。実は東京ではまだセミの声を聴かないまゝ高槻へ来ました。今年は東京のセミが遅いのか、少ないのか。このところ生きものの様子が変則的なのは、やはり気候の変化でしょうか。実は、今年の5月に分蜂をしなかった我が家のハチ君が7月半ばにみごとに分蜂。しかも自分たちで新しい巣箱に入ってくれました。めでたしめでたしですが、でも7月半ばは気になります。さて、話はクマゼミに戻って。門から研究館の入口までは桜並木なのですが、今年はとくにシャーシャーの声が大きいように思います。セミの幼虫は数年間土の中にいると言いますから、15年前に植えた桜の幼木がセミを育てるほどに育ってきた経過を反映しているのでしょう。
 実は、研究館の仲間たちとの昼食時に「今週からクマゼミが鳴き始めた」という話をしたら、全員「そうですねえ」と答え、しばしセミの話、気候の話になりました。ところが、たまたまその日来館して下さった方々(中高年の方でした)に同じことを話しかけたところ、反応なし。あまり気づいていらっしゃらないようなのです。自然があるとかないとか言いますけれど、実際のあるなしだけでなく、人々が気づくか気づかないかということも考える必要がありそうですね。気づかなければ、あってもないのと同じであり、それが続くとなくてもよいことになりますから。
 夏休みと言えば、先日、映画「河童のクゥと夏休み」を見てきました。300年前にいた河童の子どもが現代によみがえり、クゥと名づけられて都会暮らし。クゥは何を見たか。映画の内容を書くのはルール違反ですから止めますが、久しぶりにアニメーションを楽しみました。皆さまよい夏休みをお過ごし下さい。


 【中村桂子】


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