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研究館より

ラボ日記

2022.01.18

芸人とかけて,研究者と解く

その心は「どちらもM1が大事でしょう(M-1グランプリ/大学院修士課程一年生=M1)」。新年ということで大目に見ていただければ幸いです。

すっかり年末恒例イベントとなった感のある若手漫才師No.1決定戦「M-1グランプリ」を私も毎年楽しみに観ています。若手芸人さんたちの渾身のネタに笑い転げながらも,実は他人事とは思えない部分があったりします。謎かけではなく,芸人と研究者には共通項が多くあるような気がしてならないからです。

まず,「若手」という言葉のイメージほど若くありません。現在のM-1グランプリの出場資格はコンビ結成後15年以内。公的研究費である「科研費」の若手枠の応募資格は博士号取得後8年未満(大学院進学から数えると大体13年)。どちらも30代の割合が多くなります。もちろん私も若手研究者です!数年前に20代コンビ「霜降り明星」が優勝した際には,優秀な後輩にあっという間に追い抜かれたような気持ちになったことをよく覚えています。かと言って,昨年の40代50代コンビの「錦鯉」が優勝というのも,それはそれで不思議な気分になるものではありますが。

研究者にとって多くの場合,自身が面白いと思う現象を対象に研究できるようになる,というのが一つの目標です。「自分の興味のあることを研究するなんて当たり前では?」と思われるかもしれませんが,なかなか簡単なことではありません。芸人さんが売れ出してレギュラー番組や冠番組を持つような感じで,自身の研究室を主宰できるようになるまでは,基本的には所属先指定のテーマで研究する下積みの日々です。生命誌研究館の場合は,「室長」が研究室主宰者で私のような「奨励研究員」が下積みという位置付けになります。落語の世界の「前座」が大学院生,「二つ目」が下積みの若手研究者,「真打」が研究室主宰者という説明がわかりやすいかもしれません。ちなみに,NHK新人落語大賞の応募資格は入門15年未満の二つ目となっており,これまた感覚と良く一致します。

そして,公募に採用されたり昇進したりして晴れて研究室を持てるようになると,次は有名大学や大きな研究所のような研究をより進展させられる環境へのキャリアアップを目指します。これはローカル番組からキー局のレギュラーを目指すようなものと思います。

「芸人と研究者似ている説」ご賛同いただけそうでしょうか? なお,我々研究者は芸人さんの下積みのように本業以外のアルバイトに明け暮れることはありません。その点では研究者のほうが幾分ラクな商売だと思います。

宇賀神 篤 (研究員)

所属: 昆虫食性進化研究室

現在はアゲハチョウの脳の研究を進めています。これまでの研究はリサーチマップを参照。