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研究館より

ラボ日記

2020.10.01

科学論文誌から見る日本

実験結果がまとまり始め、どうにか論文執筆を始め年内にも論文が出せるように日々精進しているこの頃です。論文執筆のためには、文献を読んで最新の知見を取り入れた議論をしなければならないため、自身の研究に関連のありそうな論文を探しては読み漁っています。

そんな論文探しの中で、少し気になった記事を見かけました。Natureという科学界ではトップレベルの論文誌の2020年9月10日に掲載された記事で、「Japan after Abe: research needs a fresh start (安倍政権後の日本 研究は新たなスタートを求めている)」というものです。こちらの記事はEditorial(社説)なので科学的な論文ではありませんが、世界的にトップレベルの科学論文誌が日本の首相の引退に関して記事として取り上げたことに驚きを覚えました。実際に少し読んでみると、工業にかける予算は多い一方で科学にかける予算が先進国の中でも低い、安全性や効率が十分に検証されないまま幹細胞治療を商業化しようとしている、科学者における女性の割合が非常に低いといった科学的な立場からの安倍政権に対する批判が多く書かれていますが、それだけ日本という国が科学的にも注目されているということなのかなとも感じています。

この記事が掲載された次の週の9月16日には菅内閣が発足しました。様々な角度から世界的にも注目される日本の科学が新政権でどう舵取りされるのか、私達も注目しています。

佐藤勇輝 (奨励研究員)

所属: 形態形成研究室

プラナリアを用いた成体多能性幹細胞の研究をしています。