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研究館より

表現スタッフ日記

2024.03.01

「わたし」はわたしだけではない

本日、季刊生命誌116号を発行しました。今年の季刊誌は「共生」をテーマにしました。みなさんは「共生」と聞くと何を思い浮かべるでしょうか。アリとアブラムシ、イソギンチャクとクマノミ、ミツバチと植物など、生きもの同士の関わりは数えきれないほどあり、それぞれの驚くほど巧妙なしくみに驚かされます。季刊誌の中でも、生きものはすごいなぁ、賢いなぁ、よくできているなぁ。ということを楽しんでもらえると嬉しいのですが、今回はそれだけではなく、私たちヒトも生きもののつながりの中にいることを実感していただきたいなと思っています。

私たちヒトは他の生きものに何かを運んでもらったり、他の生きものに外敵から守ってもらうようなことはありません。なんとなくヒトはヒトだけで生きているような気もしてしまいがちですが、私たちの体の中には1000種類、1兆個にも及ぶ微生物が共生しているのです。それは、ヒトだけでなくウマや、トリ、パンダ、シロアリも同じです。「わたし」がわたしだけで生きているわけではないこと、またその関係が他の生きものとも共通しているということ。PERSPECTIVEでは、野生動物の腸内細菌の研究を切り開いた牛田一成先生に取材し、体の中で共に生きている小さな生きものたちとの関わりを紹介しています。これまで「共生」をテーマとした記事のアーカイブと併せて、目に見えない小さな微生物と共生する生きものたちの暮らしに思いを馳せると共に、「生きものとしてのヒト」を改めて感じていただければ嬉しいです。SPECIAL STORYの「パンダの時間」ではパンダ愛に溢れるアドベンチャーワールドの中尾副園長の語りを、当日の熱量そのままにまとめています。生きものがたくさん登場する今号を隅から隅まで楽しんでください!