表現スタッフ日記
2023.06.01
5年目の「生命誌版 ピーターと狼」
5月27日に東京の浜離宮朝日ホールで創立30周年の集い「科学の未来と生命誌」を開催しました。浜離宮朝日ホールといえば、響きの美しい室内楽専用の音楽ホールで、私もピアノやチェロのリサイタルに足を運んだことがあります。そして30周年に披露した演目は「生命誌版 ピーターと狼」。中村桂子名誉館長が、生命誌研究館を創設するにあたって、芸術と科学を融合する表現として、絵画である「生命誌絵巻」と音楽である「生命誌版ピーターと狼」として制作なさった生命誌を象徴する作品です。初演は1996年に高槻現代劇場で、翌年は東京のアフィニスホールで、岡田節人初代館長が友の会会長を努められた京都市交響楽団との共演と記録にあります。そしてその後もレパートリーとして大切に演奏されてきたそうです。
2020年、中村館長が館長を退かれ、永田館長をお迎えするお披露目に「生命誌版ピーターと狼」の演奏会が企画されました。共演は、ピアノデュオのプリムローズ・マジックのお二人。オーケストラの多彩な楽器を2台のピアノで美しく弾き分ける達人です。そして場所はここ、研究館の展示ホールとなりました。オーケストラに比べれば簡素とはいえ、ピアノ2台を存分に演奏する舞台を設えるのは初めてのこと。開催がきまった前年からレンタルできるピアノショップなどをあたって相談を進めていました。
そして、迎えた2020年の春、思いもよらないことが起きたのはご存じのとおり。緊急事態宣言によって、研究館は休館、出勤さえも停止という状況で中止を余儀なくされました。集会が難しい状況で、オンラインによる催しの試みを続けましたが、音楽は皆で集まって時間と空間を共にしてこそのものですので、状況が変わるのを待つしかありません。翌年、翌々年と見送りになり、これはもう30周年の場でとなりました。
1993年の開館から30年を迎える2023年が訪れ、企画から5年、ついに「生命誌版 ピーターと狼」が復活しました。時間の坊やに扮した中村名誉館長は、茶目っ気たっぷりの野球帽姿。美しく迫力満点のピアノの連弾にのせて、バクテリアからティラノザウルス、ダーウィンさんまで自在に演じ分け、大喝采でした。生命誌研究館の30年と生きもの40億年の歴史がみごとに重なり、音楽はまさに時間の芸術とご覧になった誰もが実感できたのではないでしょうか。
こちらの模様は季刊「生命誌」でお伝えする予定です。お楽しみにお待ちください。
2020年、中村館長が館長を退かれ、永田館長をお迎えするお披露目に「生命誌版ピーターと狼」の演奏会が企画されました。共演は、ピアノデュオのプリムローズ・マジックのお二人。オーケストラの多彩な楽器を2台のピアノで美しく弾き分ける達人です。そして場所はここ、研究館の展示ホールとなりました。オーケストラに比べれば簡素とはいえ、ピアノ2台を存分に演奏する舞台を設えるのは初めてのこと。開催がきまった前年からレンタルできるピアノショップなどをあたって相談を進めていました。
そして、迎えた2020年の春、思いもよらないことが起きたのはご存じのとおり。緊急事態宣言によって、研究館は休館、出勤さえも停止という状況で中止を余儀なくされました。集会が難しい状況で、オンラインによる催しの試みを続けましたが、音楽は皆で集まって時間と空間を共にしてこそのものですので、状況が変わるのを待つしかありません。翌年、翌々年と見送りになり、これはもう30周年の場でとなりました。
1993年の開館から30年を迎える2023年が訪れ、企画から5年、ついに「生命誌版 ピーターと狼」が復活しました。時間の坊やに扮した中村名誉館長は、茶目っ気たっぷりの野球帽姿。美しく迫力満点のピアノの連弾にのせて、バクテリアからティラノザウルス、ダーウィンさんまで自在に演じ分け、大喝采でした。生命誌研究館の30年と生きもの40億年の歴史がみごとに重なり、音楽はまさに時間の芸術とご覧になった誰もが実感できたのではないでしょうか。
こちらの模様は季刊「生命誌」でお伝えする予定です。お楽しみにお待ちください。
平川美夏 (チーフ)
表現を通して生きものを考えるセクター