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研究館より

中村桂子のちょっと一言

2023.04.04

さまざまに続いていく

けんたろう君と一緒に生きもののことを考えた後、東京での会でまた絵巻を見ながら大人に混じっている幼稚園児や小学生と仲良しになりました。幼稚園年長の二葉ちゃんはダンゴムシのことを丁寧に教えてくれました。これどこかで聞いたことある・・・十数年まえに幼稚園児だった孫からでした。難しいことを言わずとも、小さな生きものたちとの関係を通して続いていく生きものとしての感覚がここにはあります。大事なのはこれです。次の世代につながっていくことを実感できる仕事ができるのはいいなと思いました。これからも小さな子どもたちから教えられることがたくさんありそうです。

そのようなことを考えながら帰宅。必要があって鶴見俊輔さんの本を調べていたらその一つ「詩を語る」の中にこんな文がありました。
 2002年1月
     人間はいてもいいが いるとしたら 理屈をつけて 
     殺しあわない ほうがいい
 2002年12月
     わからないことを わからないまま はなしつづける たのしさ
 2005年3月
     はじめも おわりも ないとすればどうか

俊輔先生は生命誌に関心をお持ちでよく話を聞いて下さいました。ここにあるのも生きものとしての感覚です。自分で考えるという姿勢を貫かれた先生からは学ぶことばかりでした。前の世代からのつながりです。この言葉の中には、今考えなければならないことがたくさん詰まっています。ダンゴムシつながりも大事、このような考えを学ぶことも重要なのです。

生きもののつながりを基本に置き、それを日常の中でのつながりとして生かすことが大事なのだと改めて思った一日でした。まったく違うように見えながら生きるということを考えているとつながるものがたくさんあることに気づきます。

矢野さんに見ていただいた庭は元気がよく気持ちよいです。また報告します。
 

中村桂子 (名誉館長)

名誉館長よりご挨拶