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研究館より

表現スタッフ日記

2020.11.02

生きもののつながりの中の人間

2020年、表現セクターは季刊「生命誌」の制作を通じて「生きもののつながりの中の人間」を考えています。人間の特徴として言葉と文化に注目した102号真正面からゲノムのはたらきを考えた103号ときて、今年最後となる104号の制作を進めています。生きものって何でしょう? 新型コロナウイルスは生きものではないとされます。それはなぜか。104号では生きものの条件を考えることにしました。

私は今RESEARCH記事の中で、私たちヒトを含む真核生物の祖先を考えています。およそ38億年前にすべての生きものの共通祖先が海の中で誕生し、単細胞の原核生物の世界から、27億年前に真核生物が生まれたとされています。昔に戻ってこの祖先に会うことはできませんが、研究によって「その姿」が明らかにされつつあります。詳細は104号発行後に読んでいただきたいのですが、この研究を知った時、祖先の「その姿」があった結果として、私たち真核生物の「この姿」がある、ということがリアルに感じられてとても面白かったのです。生きもののつながりの中に自分がいるという実感がわき、これまで想像もできなかったような世界の広がりに引き込まれました。

生命科学の研究は細分化・専門化され、素人には理解が難しいものが増えています。私はいつも苦労しながら勉強しています。それでも、研究には私につながる生きものの物語があり、それを見出し表現することで、研究にとっても作品としても価値のあるものにしていきたい。ここに季刊「生命誌」の独自性がある。という思いで104号の制作に取り組んでいます。12月の発行までもうひと頑張りです。どうぞお楽しみに。