カメレオンは、鮮やかな体色の変化、長い舌、左右別々に見回す目や枝を上手につかむ二股の指と長い尾など、ユニークな性質をもち、変幻自在の例えにもされています。アフリカ、アラビア半島、マダガスカルなどが主な生息地で、200を超える種が記載されます。動きがゆっくりなので、小さな環境にそれぞれ適応して多様化したとみられます。DNA解析から、恐竜時代の白亜紀の終わりにアフリカに出現し、海流に乗ってマダガスカルに渡ったことがわかっています。

パンサーカメレオン 

餌を見つけた時の舌の発射は、動物随一の速さです。舌を支える骨が発射台となり、筋肉の収縮とサヤの弾力で一気に押し出されます。最長体の2.5倍にも伸び、粘性のある舌先のパッドで獲物をつかみます。自在に変わる体色ですが、実は全てのカメレオンが色を変えるのではなく、色も種によって決まっています。カモフラージュで身を隠す役目もありますが、気温や気分によって変化し、寒い時や威嚇する時などは、暗い濃い色に、異性の気を引く時は明るい鮮やかな色になるようです。パンサーカメレオンは、マダガスカルに住み、オスは体長50センチメートル、色彩が美しいことで知られます。生きていく技の宝庫のカメレオンをつくり生きる知恵を習いましょう。

後引筋がバネのように引き延ばされて、体の二倍程度まで伸びる
Proc Biol Sci.2004 Apr 7;271(1540):761-70. より改変

カメレオンの色は光の反射による構造色で、S-虹色素胞の結晶を調節して変化する。結晶は平常時は青の光を反射するので、皮膚の黄色で緑に見せるが、カメレオンが興奮すると、結晶の間が広がって黄色や赤の光を反射する。Nat Commun.2015 6: 6368.