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“歴史”での検索結果を表示しています。(78 件の記事が該当しました)

TALK

町衆がつくる21世紀の文化

大原謙一郎 × 中村桂子

1940年生まれ。東京大学経済学部卒、米国エール大学大学院博士課程修了。(株)クラレ副社長、(株)中国銀行副頭取を歴任。現在、財団法人大原美術館理事長を務めるかたわら、倉敷芸術科学大学客員教授として非営利事業経営論を講義。他に倉敷中央病院理事長、倉敷商工会議所会頭、岡山県教育委員、岡山県文化連盟会長などを兼任。著書に『倉敷からはこう見える-世界と文化と地方について-』。地域から世界に向けて文化の発信に取り組む。

この記事を含む季刊「生命誌」

季刊「生命誌」51号関わる

前回は50号の特集。一区切りをつけて、今回からまた新しい気持ちでのスタートである。文化、地域、産業、歴史…あらゆる営みを関連づけるのは人しかいない。産業や歴史が大きな顔をするのでなく主役は人。企業人と芸術家のみごとな連携が作った大原美術館を21世紀を意識しながら再創出している大原謙一郎さんの話には学ぶところが多かった。

リサーチは藻と三内丸山遺跡。藻も含めて真核単細胞生物はいろいろな可能性を秘めており面白い。その中で、トレボキシアが多細胞化への道を考えさせてくれる。大噴火という住民には迷惑だけれど研究者にとっては、自然の実験となるという意味でありがたい現象を捉え、それが三内丸山の総合文化を創ったのではないかということを発見。土器の形式、花粉の分布、地層と従来別の学問の対象だったものを総合すると見えてくる自然と人の深い関わりが面白い。

サイエンティストライブラリーは岡田節人前館長の第一弟子で日本の発生生物学研究のリーダーである竹市雅俊さん。細胞接着のメカニズム解明というと理屈っぽく聞こえるが、生きもの好きだからこそできた研究と断言。リニューアルしたホームページでの51号からの新しいスタート。更なる広がりと関わりを願っている。

RESEARCH

変転する大地が生み出す新しい文化

辻誠一郎

1952年滋賀県生まれ。日本大学文理学部卒業。理学博士。大阪市立大学理学部講師、国立歴史民俗博物館助教授・教授を経て現在、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授。国立歴史民俗博物館客員教授。

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季刊「生命誌」51号関わる

前回は50号の特集。一区切りをつけて、今回からまた新しい気持ちでのスタートである。文化、地域、産業、歴史…あらゆる営みを関連づけるのは人しかいない。産業や歴史が大きな顔をするのでなく主役は人。企業人と芸術家のみごとな連携が作った大原美術館を21世紀を意識しながら再創出している大原謙一郎さんの話には学ぶところが多かった。

リサーチは藻と三内丸山遺跡。藻も含めて真核単細胞生物はいろいろな可能性を秘めており面白い。その中で、トレボキシアが多細胞化への道を考えさせてくれる。大噴火という住民には迷惑だけれど研究者にとっては、自然の実験となるという意味でありがたい現象を捉え、それが三内丸山の総合文化を創ったのではないかということを発見。土器の形式、花粉の分布、地層と従来別の学問の対象だったものを総合すると見えてくる自然と人の深い関わりが面白い。

サイエンティストライブラリーは岡田節人前館長の第一弟子で日本の発生生物学研究のリーダーである竹市雅俊さん。細胞接着のメカニズム解明というと理屈っぽく聞こえるが、生きもの好きだからこそできた研究と断言。リニューアルしたホームページでの51号からの新しいスタート。更なる広がりと関わりを願っている。

TALK

[葉っぱから考える] 違和感としてわかる豊かな形作り

塚谷裕一 × 中村桂子

1964年神奈川県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。現在、東京大学大学院教授、基礎生物学研究所客員教授。専門は葉の発生・分子遺伝学。海外でのフィールド調査や、植物の多様性についての研究も行なっている。日本文学に登場する植物にも詳しく『漱石の白くない白百合』などを著わす。その他『秘境・ガネッシュヒマールの植物』『植物の〈見かけ〉はどう決まる』『植物のこころ』など著書多数。

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季刊「生命誌」48号観る

“観る”の原点は子供時代の朝顔の観察だろう。動かない植物はこちらもじっと見ることになる。身近な昆虫を調べ尽くした後、日本の植物図鑑が全てを網羅し良質であることに気づいて、植物を徹底観察した塚谷少年は、遺伝子から野外、更には小説の中と、あらゆる植物の姿を観て、“形とはなにか”を考える魅力的な研究者になった。植物の研究者がもっと増えてもいいのにと思う。

リサーチは、光合成を支えるタンパク質が、逆の反応とみられる呼吸で使われるものとほぼ同じで、しかも更にエネルギーを効率よくつくる工夫が加えられているという話。立体構造をよく観たらわかった動かない植物特有の巧みさである。リサーチ二つめは脳内のニューロン以外の細胞の機能。大量に見えているのに何故か情報伝達とは無関係とされてきた細胞が、カルシウム濃度の増減によって運動・感覚などの脳機能に関わっていたのである。見えているものを見直した話である。

アートはマンダラ。見えない仏の世界を形にし、聖と美を一体化して宇宙観を表した見事さは、観ると表現を考える私たちを圧倒する。生きものをよく観て現代のマンダラを描きたいと思う。

サイエンティストライブラリーは藤澤肇さん。眼から伸びた神経が正確に視覚野につながるのは、試行錯誤の末のこと。軸索を見えるようにしたことで、伸びる軸索を誘導するタンパク質とこちらへ来てはいけないというタンパク質の組み合わせでだんだんに正確な方向に導かれることがわかった。“観る”が研究の始めで終わりと断言する。

まさにその通り。一年間「観る」をテーマにし、細かいことを知る、基本を考える、統合化するなど全てが、じっくり観るところから生まれることを実感した。

中村桂子

RESEARCH

ART in BIOHISTORY マンダラ-全体をみる

ART in BIOHISTORY マンダラ-全体をみる

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季刊「生命誌」48号観る

“観る”の原点は子供時代の朝顔の観察だろう。動かない植物はこちらもじっと見ることになる。身近な昆虫を調べ尽くした後、日本の植物図鑑が全てを網羅し良質であることに気づいて、植物を徹底観察した塚谷少年は、遺伝子から野外、更には小説の中と、あらゆる植物の姿を観て、“形とはなにか”を考える魅力的な研究者になった。植物の研究者がもっと増えてもいいのにと思う。

リサーチは、光合成を支えるタンパク質が、逆の反応とみられる呼吸で使われるものとほぼ同じで、しかも更にエネルギーを効率よくつくる工夫が加えられているという話。立体構造をよく観たらわかった動かない植物特有の巧みさである。リサーチ二つめは脳内のニューロン以外の細胞の機能。大量に見えているのに何故か情報伝達とは無関係とされてきた細胞が、カルシウム濃度の増減によって運動・感覚などの脳機能に関わっていたのである。見えているものを見直した話である。

アートはマンダラ。見えない仏の世界を形にし、聖と美を一体化して宇宙観を表した見事さは、観ると表現を考える私たちを圧倒する。生きものをよく観て現代のマンダラを描きたいと思う。

サイエンティストライブラリーは藤澤肇さん。眼から伸びた神経が正確に視覚野につながるのは、試行錯誤の末のこと。軸索を見えるようにしたことで、伸びる軸索を誘導するタンパク質とこちらへ来てはいけないというタンパク質の組み合わせでだんだんに正確な方向に導かれることがわかった。“観る”が研究の始めで終わりと断言する。

まさにその通り。一年間「観る」をテーマにし、細かいことを知る、基本を考える、統合化するなど全てが、じっくり観るところから生まれることを実感した。

中村桂子

TALK

[実物から探る] 自然と歴史を観る喜び

藤森照信 × 中村桂子

1946年長野県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。現在、東京大学生産技術研究所教授。建築探偵団、路上観察学会など多彩に活躍。著書に『看板建築』『建築探偵の冒険』『日本の近代建築(上・下)』『人類と建築の歴史』他。主な建築作品に<神長官守矢史料館><タンポポ・ハウス><秋野不矩美術館><高過庵>など。

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季刊「生命誌」47号観る

ぼくらは建築探偵団”とばかり、学生時代に暇にあかせて歩き回ったのが原点という藤森さん。設計図や写真を見れば建築のことはわかるとされていた中で、町に建つ家を自分の眼で見ることで、生活感覚を含めた新しい発見が多いことに気づいたという。建築を通して人間を見つめる眼に厳しさと暖かさがある。

リサーチのツボは細胞と細胞をつなぐ分子(カドヘリン)。生きものの形づくりの基本となるこの分子自身の形に、多様でありながら共通性をもつという生きものらしい性質がみつかり、分子の形の進化から生きものの進化が見えてきた。リサーチ二つめは、イリオモテヤマネコ。長い間西表島をくまなく歩いて続けてきた観察から、たった数百匹で20万年生き続けた小さな島のネコの特異な生き方が浮き彫りになった。生態系とその中での一つの生きものの生き方との関係を知るモデルとして面白い。

アートは擬人化。動物はおろか器具にも人の目を描いてきた日本の絵画と分子に目を描いたBRHの映像「細胞くん」。愛づるというところで共通点がありそうだ。

サイエンティストライブラリーは郷通子さん。タンパク質を物質として、時に生きものの一部として見ることで、その基本構造を探し出し、進化を考えた生物物理学らしい仕事をなさった。生命誌コーギはがん。医学・医療が生きることの本質を見つめるもの、また見つめねばならぬものであると思わざるを得ない。

鳥獣戯画の人の目の鳥が、見るだけでなく「観ている」ことに気づき、目は観ていることを知らせる意味も持つという“発見”をした。日本絵画を生命誌の目で見ていくとさらに楽しい発見がありそうだ。

中村桂子

ART

ART in BIOHISTORY 擬人化-人の目でみる

ART in BIOHISTORY 擬人化-人の目でみる

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この記事を含む季刊「生命誌」

季刊「生命誌」47号観る

ぼくらは建築探偵団”とばかり、学生時代に暇にあかせて歩き回ったのが原点という藤森さん。設計図や写真を見れば建築のことはわかるとされていた中で、町に建つ家を自分の眼で見ることで、生活感覚を含めた新しい発見が多いことに気づいたという。建築を通して人間を見つめる眼に厳しさと暖かさがある。

リサーチのツボは細胞と細胞をつなぐ分子(カドヘリン)。生きものの形づくりの基本となるこの分子自身の形に、多様でありながら共通性をもつという生きものらしい性質がみつかり、分子の形の進化から生きものの進化が見えてきた。リサーチ二つめは、イリオモテヤマネコ。長い間西表島をくまなく歩いて続けてきた観察から、たった数百匹で20万年生き続けた小さな島のネコの特異な生き方が浮き彫りになった。生態系とその中での一つの生きものの生き方との関係を知るモデルとして面白い。

アートは擬人化。動物はおろか器具にも人の目を描いてきた日本の絵画と分子に目を描いたBRHの映像「細胞くん」。愛づるというところで共通点がありそうだ。

サイエンティストライブラリーは郷通子さん。タンパク質を物質として、時に生きものの一部として見ることで、その基本構造を探し出し、進化を考えた生物物理学らしい仕事をなさった。生命誌コーギはがん。医学・医療が生きることの本質を見つめるもの、また見つめねばならぬものであると思わざるを得ない。

鳥獣戯画の人の目の鳥が、見るだけでなく「観ている」ことに気づき、目は観ていることを知らせる意味も持つという“発見”をした。日本絵画を生命誌の目で見ていくとさらに楽しい発見がありそうだ。

中村桂子

ART

ART in BIOHISTORY 異時同図-動きをみる

ART in BIOHISTORY 異時同図-動きをみる

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季刊「生命誌」46号観る

「観る」の第2回。体内を観ることを原点とする解剖学を出発点として、現代生物学の全領域を渉猟し、見事な成果をあげている廣川さんの研究はこれぞ生命科学と思わせます。美しいと思うことが基本にあるのも魅力です。遺伝子を追うだけでもなければ、タンパク質を調べるだけでもない。生きているってどういうことなんだと問うています。瞬間を止めるから動きが見える。「観る」が狙っているのはやはり時間なのです。

リサーチはちょっととぼけた昆虫が教えてくれる自然界の実情です。捕食者が食べることが数をコントロールしているという思いこみを問い直します。自然界を観るよい系を探しあてるのもフィールドワークには重要なこと。西田さん発見のカメムシの行動に注目してください。

リサーチ2つめは、DNAのはたらきにとってその構造がどれほど大きな意味を持つかという広瀬さんの研究。分子の世界も形を丁寧に観ることが重要な時代になってきました。DNAが凝縮したり、ほどけたりするのをじっくり見て初めてはたらきが見えてきました。

サイエンティストライブラリーは研究館の顧問の吉川さん。枯草菌のDNA研究の底に脈々と流れる昆虫少年魂が見えます。

このカードも含めて、私たちは調べた結果を誰もがなるほどと思う形に表現することも研究のうちと考えています。どう表現すれば、美しくまた理解しやすくなるか。科学にもそれが必要です。アートでは絵画での工夫を参考に動きを観て表す方法を考えました。医学生向けの生命誌コーギ。今回はズバリ「ゲノム」です。ヒトゲノム解析が終わり、これを利用した医療が進むとされていますが、「私のゲノム」と「私」の関係を考えておかないとよい医療にはつながりません。しかけを観ながら考えて下さい。「観る」という言葉の中には生きることを考える鍵がたくさんあると実感しています。

中村桂子

TALK

[複製と共有] 観察による手描きと再認を求める写真

港千尋

1960年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1985年よりパリを拠点に写真家・批評家として幅広く活動。主な著書に『群衆論』『記憶』『映像論』『洞窟へ』、写真集に『瞬間の山』など。

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この記事を含む季刊「生命誌」

季刊「生命誌」45号観る

眼で見るだけでなく、見えてきたものの意味を考える「観る」が今年のテーマです。トークは写真家の眼を通して、観るとは何かを考えていらっしゃる港さん。一瞬を凝縮した写真から、撮影の瞬間には見えなかったものが見えてくるというお話は興味深いものでした。描くには時間が必要で、眼と脳と手が回路をつくって美しさという判断を入れていくことは、科学の世界でも認識されています。写真も再認という形での時間を含むという指摘は、観ると知るの関係を考える時の視点を与えてくれました。

リサーチは、まず脊椎動物が水中から陸上へという環境の大変化に、エラから副甲状腺への作り替えによるカルシウム調節という方法で対応した話。“あり合わせを上手に使う”という生きものの得意技です。BRHニュースに紹介したように私たちも生物、特に昆虫の上陸に注目した研究を始めています。もう一つは、分解を巧みに組み込んだ代謝を、分子に標識をつけることによって眼でみられるようにした研究です。肉眼や顕微鏡で見てきたことを、分子の動きに結びつけて考えられる時代になったことを実感します。

サイエンティストライブラリーの赤澤先生は化石を考古学の対象だけにせず、工学、解剖学、情報学などを駆使して、人骨を歩かせるなど生活感覚を生かした新しいフィールド科学を作っています。

「観る」の一例として、細胞内での分子たちのはたらきをCGで表現しました。細胞はたくさんの分子のつまった複雑な場であると同時に、一つの分子にとってはとても大きな空間だとわかりました。この二つの認識で細胞を見る新しい試みを続けます。BRHのシンボルである生命誌絵巻も、観るという視点から再検討しました。

中村桂子

ART

ART in BIOHISTORY 絵巻-時間をみる

ART in BIOHISTORY 絵巻-時間をみる

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この記事を含む季刊「生命誌」

季刊「生命誌」45号観る

眼で見るだけでなく、見えてきたものの意味を考える「観る」が今年のテーマです。トークは写真家の眼を通して、観るとは何かを考えていらっしゃる港さん。一瞬を凝縮した写真から、撮影の瞬間には見えなかったものが見えてくるというお話は興味深いものでした。描くには時間が必要で、眼と脳と手が回路をつくって美しさという判断を入れていくことは、科学の世界でも認識されています。写真も再認という形での時間を含むという指摘は、観ると知るの関係を考える時の視点を与えてくれました。

リサーチは、まず脊椎動物が水中から陸上へという環境の大変化に、エラから副甲状腺への作り替えによるカルシウム調節という方法で対応した話。“あり合わせを上手に使う”という生きものの得意技です。BRHニュースに紹介したように私たちも生物、特に昆虫の上陸に注目した研究を始めています。もう一つは、分解を巧みに組み込んだ代謝を、分子に標識をつけることによって眼でみられるようにした研究です。肉眼や顕微鏡で見てきたことを、分子の動きに結びつけて考えられる時代になったことを実感します。

サイエンティストライブラリーの赤澤先生は化石を考古学の対象だけにせず、工学、解剖学、情報学などを駆使して、人骨を歩かせるなど生活感覚を生かした新しいフィールド科学を作っています。

「観る」の一例として、細胞内での分子たちのはたらきをCGで表現しました。細胞はたくさんの分子のつまった複雑な場であると同時に、一つの分子にとってはとても大きな空間だとわかりました。この二つの認識で細胞を見る新しい試みを続けます。BRHのシンボルである生命誌絵巻も、観るという視点から再検討しました。

中村桂子

SCIENTIST LIBRARY

21世紀のフィールド科学を

赤澤 威

1938年
大阪生まれ
1963年
慶應義塾大学 文学部西洋史学科卒業
1968年
東京大学大学院 理学系研究科 人類学専門課程 博士課程退学
1968年
東京大学 総合研究資料館 助手
1976年
国立科学博物館 人類研究部研究官
1979年
東京大学 総合研究資料館 助教授
1993年
東京大学 総合研究博物館 教授
1997年
国際日本文化研究センター 教授
2004年
高知工科大学教授

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この記事を含む季刊「生命誌」

季刊「生命誌」45号観る

眼で見るだけでなく、見えてきたものの意味を考える「観る」が今年のテーマです。トークは写真家の眼を通して、観るとは何かを考えていらっしゃる港さん。一瞬を凝縮した写真から、撮影の瞬間には見えなかったものが見えてくるというお話は興味深いものでした。描くには時間が必要で、眼と脳と手が回路をつくって美しさという判断を入れていくことは、科学の世界でも認識されています。写真も再認という形での時間を含むという指摘は、観ると知るの関係を考える時の視点を与えてくれました。

リサーチは、まず脊椎動物が水中から陸上へという環境の大変化に、エラから副甲状腺への作り替えによるカルシウム調節という方法で対応した話。“あり合わせを上手に使う”という生きものの得意技です。BRHニュースに紹介したように私たちも生物、特に昆虫の上陸に注目した研究を始めています。もう一つは、分解を巧みに組み込んだ代謝を、分子に標識をつけることによって眼でみられるようにした研究です。肉眼や顕微鏡で見てきたことを、分子の動きに結びつけて考えられる時代になったことを実感します。

サイエンティストライブラリーの赤澤先生は化石を考古学の対象だけにせず、工学、解剖学、情報学などを駆使して、人骨を歩かせるなど生活感覚を生かした新しいフィールド科学を作っています。

「観る」の一例として、細胞内での分子たちのはたらきをCGで表現しました。細胞はたくさんの分子のつまった複雑な場であると同時に、一つの分子にとってはとても大きな空間だとわかりました。この二つの認識で細胞を見る新しい試みを続けます。BRHのシンボルである生命誌絵巻も、観るという視点から再検討しました。

中村桂子

TALK

[解剖学の歴史] 語りきれない人体とゲノム

坂井建雄 × 中村桂子

1953年大阪府生まれ。東京大学医学部医学科卒、同大学医学部助手、ハイデルベルグ大学研究員、東京大学医学部助教授を経て、現在順天堂大学医学部解剖学教授。篤志解剖全国連合会事務局長。95年に日本解剖学会を代表して特別展「人体の世界」で展示実行委員長を務める。主著に『からだの自然誌』(東京大学出版会)、『人体のしくみ』(日本実業出版社)ほか多数。

RESEARCH

大量絶滅 生物進化の加速装置

磯崎行雄

1955年生まれ。大阪市立大学出身。山口大学、東京工業大学をへて現職。専門は地球科学(大地の生い立ちを探るテクトニクス・大量絶滅事件などの生命史についての野外地質調査が主体)

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RESEARCH

ART in BIOHISTORY【日本文化の中の生きもの】 観察と表現

ART in BIOHISTORY【日本文化の中の生きもの】 観察と表現

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TALK

[語る叙事詩] 「生きもの」と「ヒト」と「人間」

川田順造 × 中村桂子

1934年東京生まれ。文化人類学。東京大学教養学部卒、パリ第5大学民族学博士。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授を経て、現在神奈川大学大学院教授。主著に『曠野から-アフリカで考える』(筑摩書房)、『無文字社会の歴史』(岩波書店)、『聲』(筑摩書房)、『口頭伝承論』(河出書房新社)ほか多数。

TALK

[語る舞台] 世界観を築く

遠藤啄郎 × 中村桂子

東京芸大油絵科卒。演劇、人形劇、舞踊、音楽劇などの脚本・演出家。舞台用創作仮面のデザイン、製作。現代の「語り」芝居をライフワークとしている。海外公演も多く、ヨーロッパ、北米、アジア、東欧など三十都市におよぶ。代表作には仮面劇「小栗判官・照手姫」、仮面劇マハーバーラタ「若きアビマニュの死」など。紀伊国屋演劇賞、日本文化デザイン賞、横浜文化賞、他。劇団横浜ボートシアター代表。

RESEARCH

ART in BIOHISTORY【日本文化の中の生きもの】 描かれた生きものを探る

ART in BIOHISTORY【日本文化の中の生きもの】 描かれた生きものを探る

キーワード

RESEARCH

「野生の科学」の可能性-イヌイトの知識と近代科学

大村敬一

1966年静岡県生まれ。1997年早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了、博士(文学)。早稲田大学人間科学部助手、大阪大学言語文化部講師を経て、現在大阪大学言語文化部助教授。

キーワード

TALK

生を写す視点

佐々木丞平 × 中村桂子

1941年兵庫県生まれ。京都大学文学部卒業。文化庁文部技官、調査官を経て、現在、京都大学大学院文学研究科教授、同大学附属図書館長。 美学、美術史学(日本近世絵画史)専攻。

キーワード

TALK

生物学のロマンとこころ

岡田節人 × 中村桂子

1927 年兵庫県伊丹市生まれ。京都大学理学部卒業。京都大学教授、岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所所長、同機構長、国際生物科学連合副総裁等を歴任。1993年から2001年3月までJT生命誌研究館館長。現在、京都大学名誉教授、JT生命誌研究館特別顧問。

季刊「生命誌」に掲載された記事のうち、
多様な分野の専門家との語り合い(TALK)研究者のインタビュー(Scientist Library)の記事が読めます。
さまざまな視点を重ねて記事を観ることで、生命誌の活動の広がりと、つながりがみえてきます。

オンライン開催 催しのご案内

レクチャー

12/14(土)14:00-15:30

季節に応じて植物が花を咲かせるしくみ