研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【双子がいっぱい】
実は最近私たちの研究室でもこれに似たようなことがありました。もちろんひとの話ではなく、クモの話です。これまでにも私たちは実験室ツアーやレクチャーなどで、クモでは非常にまれに双子胚が生じるという話をしてきました。どれくらいまれかと言いますと、そのつい最近の出来事を除けば、私がこれまで見つけた双子胚をすべて合わせても5個にも満たない数でした。少なく見積もっても万の単位の数の卵を観察してきたはずなので、非常に低い確率であることがわかるかと思います。それなのに、ある親から産まれたひとつの卵嚢の中に(200個程度の卵を含む)、6個の双子胚が見つかりました(写真参照)。ひとつの卵嚢から複数の双子胚が見つかったのは初めての経験です。しかし残念なことに、同じ親がその後に産んだ卵嚢には双子胚はひとつも見つかりませんでした。双子が遺伝子によるものかどうかはわかりません。それでも、ひょっとしたら面白いかもしれないと私は思っています。というのも、その親グモはある二つの遺伝子の機能を同時に阻害するために処理していたもので、双子ができたこととそれらの遺伝子の機能との間に何か関係があるかもしれないからです。 ひとの双子とクモの双子が同じ原因でできるとは思いませんが、どちらも発生学の非常に基本的な問題であることに違いはありません。どんな仕組みでクモの双子ができるのかを解明できたらと思っています。 ひとつの卵嚢から見つかった双子胚.腹側の正中線と各体節の一部が染色されている。頭端に向かう軸と尾端に向かう軸が交わって十字形またはY字形に見えている。 | |
[ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ 小田広樹] |