研究員レクチャー
研究員レクチャー
JT生命誌研究館の研究員が月に1回づつ、現在おこなっている研究について話します。
【入場無料・予約不要】

研究員レクチャー2007年度
  第1回
 日  時 : 2007年4月21日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 蘇 智慧 研究員
(DNAから共進化を探るラボ)GO!
 タイトル : イチジク属植物とイチジクコバチの「1種対1種」関係の維持と崩壊を考える
 内  容 :  昆虫と植物との共生関係の中で、イチジク属とその送粉コバチとの関係は厳密でもっとも種特異性が高く、1種のイチジク植物にただ1種のコバチが送粉している「1種対1種」で対応すると言われている。
 「1種対1種」の関係はどうやって維持されているのだろうか? 最近の研究では、同じ種のイチジク植物から得られた送粉コバチは必ずしも同じものではないことから、その「1種対1種」の関係の崩壊もあり得ると指摘されている。イチジク属植物には、雌雄同株の種と雌雄異株の種がいる。そこには、「1種対1 種」の関係の維持と崩壊のメカニズムが隠れているかもしれない。
 前回のレクチャーでは、私は 「形態的に1種と見えても、実際に高い選択圧を受けて、コバチの形態の収斂や平行進化が起きているかもしれない」と話した。それが事実であることが明らかになった。
イチジク属植物の一種
イチジク属植物の一種
オオイタビの花嚢
オオイタビの花嚢
  第2回
 日  時 : 2007年6月16日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 尾崎克久 研究員
(昆虫と植物の共進化ラボ)GO!
 タイトル : 昆虫と植物を結ぶ絆は何か〜食草選択の仕組みを探る〜
 内  容 :
アゲハチョウ
 アゲハチョウの仲間は、幼虫が特定の植物しか食べないので、母親であるメス成虫がどの植物を産卵場所として選択するかが次世代の生存を左右します。メス成虫は、産卵の直前に植物の葉を前脚でたたく「ドラミング」と呼ばれる行動により植物種を識別しますが、識別の手がかりは植物に含まれている化合物の組み合わせです。前脚で働いている化合物の受容に関わる遺伝子群を見付けることができれば、昆虫と植物の関わり合いについてより深く理解することが出来るだろうと考えています。これまでの研究で見つかった、産卵刺激物質の受容に関わる遺伝子群の解析によって昆虫と植物を結びつけている仕組みについて考えてみたいと思います。
  第3回
 日  時 : 2007年7月21日(土) 14:00〜
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 小田広樹研究員
(ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ)GO!
 タイトル : クモの尾から脊椎動物の尾の起源を探る
 内  容 :  私たちヒトは例外的ですが、脊椎動物のほとんどに尾があります。少なくとも脊椎動物ではこの尾を形作る仕組みはほぼ共通であり、脊椎動物の共通祖先が尾を持った魚のような動物であったことに異論はないでしょう。ところが、魚のような尾がどのような動物のどこに由来するのかはまだまだ謎のままで、この問題は解決すべき大きな研究テーマとして残っています。そのような中、私たちはクモ胚に見られる尾のような構造に着目して、最先端の技術を駆使し、研究を進めています。脊椎動物の尾とクモの尾の類似点、相違点を分子の言葉で明らかにすることによって、脊椎動物の尾の起源を理解したいと考えています。本レクチャーでは、こうした私たちの取り組みと関連する世界の研究の動向を紹介します。
クモの尾から脊椎動物の尾の起源を探る
  第4回
 日  時 : 2007年9月15日(土) 14:00〜
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 秋山-小田康子研究員
(ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ)GO!
 タイトル : 動物の体の軸はどのようにできるのか?
 内  容 :  動物の体には前-後(頭-尾)、背-腹、左-右という軸が存在します。
このような体の軸はどのようにできるのでしょうか?
 個体発生において、体の軸がまだできていない卵の中に、前後・背腹の軸がどのようにして作られていくのか、ということは脊椎動物やショウジョウバエなどのよく研究された動物では、詳しく分かっています。では、動物の進化を考えた場合にはどうでしょうか?
 動物の進化では、前後・背腹の軸を持たないような動物から、軸を持つ動物へと進化したと考えられています。このような進化を遂げたときには、体を作り出す方法にどのような変化があったのでしょうか?
 私たち研究者はこのような問題に対して、現在、存在する動物の体のでき方を比較することで答えを見つけようとしています。
 今回のレクチャーではこの分野の動向と私たちのクモを用いた発生研究の進展状況をお話します。

左はクモの正常胚、右はdsRNAiを行った胚
左はクモの正常胚、右はdsRNAiを行った胚。
軸が正常にできていない。
  第5回
 日  時 : 2007年11月17日(土)14:00〜
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 佐々木剛研究員
(DNAから共進化を探るラボ)GO!
 タイトル : 生物の系統樹
 内  容 :  私の所属する研究室「DNAから共進化を探るラボ」では、DNAの配列情 報から生き物の間の系統関係を調べる、ということを基本にして研究を行っています。生物の系統関係は、「系統樹」を使って模式的に表現できるもので、そこから生き物のたどってきた進化の道筋を読み取ることができます。
 非常に近縁な生物同士の関係(家系図は、養子縁組を除けば、その最たるものと考えることもできます)から、最も遠縁にあたる生物間の関係まで、さまざまなレベルにおいて問題があり、解決されたもの、未解決のものがあります。生物の系統関係は、基本的で非常に重要な知識であり、生物学の他の問題を考える上での土台ともなります。
 今回のレクチャーでは分子系統学によって解決された問題や、今後の研究課 題として残された問題の中から、アゲハチョウの系統関係、昆虫の起源、植物の起源、真核生物と原核生物などをとりあげてご紹介したいと思います。
エルンスト・ヘッケルによる、最初の系統樹。
エルンスト・ヘッケルによる系統樹。
  第6回
 日  時 : 2007年12月15日(土)14:00〜
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 吉田昭広研究員
(チョウのハネの形づくりラボ)GO!
 タイトル : チョウのハネの鱗粉-細胞分化・機能・普遍性-
 内  容 :
 チョウのハネは鱗粉でおおわれています。鱗粉はそれぞれが1個の細胞です。この鱗粉細胞はどのようにして生まれ(=細胞分化)、どのような「機能」をもつようになるのでしょうか?鱗粉細胞と同じような細胞がヒトにもある(=普遍性)のでしょうか?鱗粉細胞が提起するさまざまな問題を、モンシロチョウを例にして紹介します。
  第7回
 日  時 : 2008年1月12日(土)14:00〜
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 橋本主税研究員
(脳の形はどうやってできるのかラボ)GO!
 タイトル : かたちの哲学 第4弾 『ゲノム論』
 内  容 :  ゲノムと言われて何を想像されるでしょうか? DNAでしょうか? それとも遺伝子でしょうか? ヒトゲノムと言えばヒトの遺伝子を指すのでしょうか? では、ヒトの遺伝子って何なのでしょう? ヒトという種を決定する遺伝子があるのでしょうか?
 実は、研究者によってゲノムの解釈は異なります。今回のレクチャーでは、ゲノムをどう考えたら良いのかについて、「かたちの哲学」の立場から検証してみます。その上で何か答えらしきものが見いだせればしめたものです。
どうか一緒に考えてみましょう。

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