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カエルとイモリのかたち作りを探る形態形成研究室ー 橋本 主税

脊椎動物の「かたち作りの進化」を、細胞増殖と分化そして組織移動の観点から、
カエル・イモリ・プラナリアを用いて考えています。

その形態から脊椎動物は「脊椎動物」として分類されます。形が相同であるという事は、かたち作りの過程に相同性があると考えて、脊椎動物のかたち作りの際に起こる組織の移動に着目して研究をしています。成体の体制が決まる「原腸形成過程」の組織の動きをカエルやイモリを用いて解析したところ、原索動物を含め脊索動物門全体に保存された仕組みが見えてきました。現在は、脊椎動物の原腸形成過程で進化的に共通するモデルの構築を目指して研究を進めています。脊椎動物が進化の過程で出現したとき、「神経堤細胞」と呼ばれる分化全能性幹細胞を獲得した事が重要であると考えられます。私たちは、細胞増殖の制御が分化・未分化のスイッチに重要な役割を果たしていると考えています。脊椎動物では、さまざまな場所・さまざまな時期で厳密なバランスを取って増殖と分化が制御されてかたち作りが行なわれているので、増殖と分化の文脈で生命現象を見る事が難しいことから、多能性幹細胞から分化へ至る過程が単純であるプラナリアを用いてこのテーマに切り込んでいます。単純なプラナリアのかたち作りの機構に複雑な脊椎動物の本質が隠れていると考えたらワクワクします。

年度別活動報告

これまでの学位取得者とテーマ

  • 平成28年度 修士論文 國本拓也 「両生類の背側構造形成に必要な最小領域の決定」
  • 平成26年度 修士論文 楊 貴成 「両生類に普遍的な原腸形成モデルの構築〜新しい組織運動subduction & zipperingの提唱〜」
    'A brand new model of amphibian gastrulation; involvement of new movements "Subduction & Zippering"'
  • 平成25年度 修士論文 南野怜香 「両生類における原腸形成運動の解析」
  • 平成25年度 修士論文 西田 遥 「アフリカツメガエルの発生過程におけるP2Y受容体の発現パターンと機能解析」
  • 平成24年度 修士論文 伊藤賢太 「アカハライモリの解析から見えた両生類原腸形成に共通なモデル」
  • 平成23年度 修士論文 益田真都香 「ヌクレオチド受容体P2Y4およびP2Y11は、アフリカツメガエル初期発生過程において神経堤の維持に必要である」
  • 平成20年度 修士論文 川辺実季 「アフリカツメガエル初期胚におけるミトコンドリアタンパク質UCP2の発現パターンと役割を探る」
  • 平成20年度 博士論文 村戸康人 「アフリカツメガエル胚の頭部感覚器官形成におけるXhairy2の機能解析:特にレンズ形成におけるその必要性について」
    "Functional analyses of Xhairy2 in the formation of cranial sensory organs in Xenopus laevis embryos: Requirements for lens formation."
  • 平成19年度 博士論文 永友寛一郎 「アフリカツメガエルの神経堤・前方神経領域形成におけるXhairy2の役割」
  • 平成17年度 博士論文 山口真未 「アフリカツメガエル原腸形成期のオーガナイザー組織におけるXhairy2bの役割」
  • 平成17年度 修士論文 村戸康人 「Xenopus hairy2bがオーガナイザーを領域化する二つの分子機構について」
  • 平成16年度 博士論文 辻 咲織 「コリプレッサーGrouchoによる転写制御がアフリカツメガエルの頭部神経系の領域化に必要である」
  • 平成15年度 修士論文 重永 幸 「アフリカツメガエル初期発生過程におけるGrouchoの機能を探る」
  • 平成14年度 修士論文 山口真未 「鳥類胚における体壁筋形成の部域特異性」

このラボから生まれた季刊「生命誌」

季刊「生命誌」100号
リサーチ:生命誌研究のこれまでと今

研究者は日々、何を見て、何に驚き、何を想うのか。論文には書かれない、今まさに動いている研究の日常を語りました。

季刊「生命誌」81号
フロムBRH:生きもの愛づる人びとの物語り1

研究と表現の両輪による活動を続けて20年、明確なまとまりが見えてきました。これをどのように生かし、どう展開するか。次の10年に向けて考えています。

季刊「生命誌」50号
リサーチ:「脳の形を決める未分化性と細胞増殖」

細胞が何かの性質を持とうとするのが分化です。その過程では、周りの細胞がいろいろな命令を出してきます。脳(頭部神経)はどうやら、「何かになる」ことから逃げ続けた結果できているようなのです。

季刊「生命誌」37号
「飼育・採集日記」

両生類が個体発生を始める春にさまざまな両生類を捕まえてきては実験をしています。卵の特定の部分に色を付けてその動き方を比べるのです。この研究でツメガエルでは教科書と異なる原腸形成の動きを発見しました。

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