展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【ななくさもいろいろ】
山上憶良が万葉集に詠んだ秋の七草は、萩、薄(尾花)、葛、撫子、女郎花、藤袴、桔梗(朝顔)。当時、秋の野に咲く代表とされた花々は、今も私たちに秋を感じさせてくれます。今の暦で9, 10月頃の印象ですね。しかし薄よりはメリケンカルカヤ、女郎花よりはセイタカアワダチソウを、私たちは多く目にするように思います。日々の暮らしの中で、ふと季節の移り変わりを実感させてくれる秋の七草も、昔と今とでは、少し違って来ているかもしれませんね。 秋の七草も終わり、紅葉の季節(11月)に花咲く春の七草をいくつか目にしました。どれも近所の野原や畑で見かけたものです。その青菜を正月七日にお粥で食べる春の七草は、開花時期は早春のものが多いとぼんやり思っていましたが、どうも違うようですね。ウシハコベやヤブタビラコは、もとから一年中見るような気もしますが、穂を真っ赤に染めた一面の蓼を背景に咲いているのは仏の座です。同じ蓼の時期に、なずな、ははこぐさ(御行)の花をちょくちょく見かけるというのはちょっと気持ちがおちつきませんね。 |
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[ 村田英克 ] |