展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【『生きている「もの」が生き物』】
ところで、物であるうち、生きている「こと」として存在するのが生き物。生きていることと、物としての存在を分けて、扱ったり、考えたりすることは本当はできない。でも生き物をわかるには、ただ眺めていてもはじまらないということで、そこは一旦分けて考えさせてもらって、物質とその相互作用として見る、化学反応として見る、情報のやりとりとして見る、また秩序を持った系として見るというようないろいろな見方がされる。確かに生き物は、ただゴロンとしたものでなく絶えず何かやっている。特にミクロでは、いつも動いて、いろいろ起こっているので「物」の中でも、出来事や現象ということに近いようだ。でもそうやっていろいろな切り口から出てきたことをもう1回、実際、目の前で起きている生きている物に重ねて捉えようというのが、やはり発生・進化・生態系から生き物を捉える視点。そこでやっと生き物がわかるに近づけるのではないか。ただ「物」を考えるだけでもずいぶん難しいのに、「生きている」を重ねて考えるなんて、これは途方もない難しさです。でもそういうことがわからないでも生きているというのも不思議ですよね。 |
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[ 村田英克 ] |