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BRHニュース

サマーセミナー
「サイエンスコミュニケーション」

昨年(2000年)の8月24、25日の2日間、BRHでサマーセミナーを開催しました。

テーマとなった「サイエンス・コミュニケーション」は、日本ではあまり知られていない言葉ですが、いわゆる「科学を伝える」活動の総称です。欧米では、ファラデーの『ろうそくの科学』など長い歴史がありますが、80年代からとくに活発になり、大学や大学院にも専門のコースが設けられました。JT生命誌研究館で行っている機関誌発行、展示やビデオの制作、イベントの開催などは、まさにサイエンス・コミュニケーションの具体例だと言えます。

今回のセミナーは、私たちのそうした活動の舞台裏を、館外の人に伝え、このような活動を広げる始まりにしようと計画したものです。幸い予想を上回る応募があり、生物学分野の大学院生を中心に27名が集まりました。サイエンス・コミュニケーションに興味があるが,このテーマのセミナーはこれまで日本にはなかったと神奈川から参加した人をはじめ、島根、広島、新潟へも広がりがありました。

当日は、SICP(Science Comunication and Production)部門のスタッフ全員はもちろん、ラボラトリー部門の研究員も一緒に、雑誌、ビデオ、展示などについて、考え方や具体的な制作過程を話したのち、参加者が意見を述べ、議論するという形で進めました。参加者からは、「サイエンス・コミュニケーションの重要性を再認識した」「『文化としての科学』という考え方に共感する」など、活動全般について共鳴するという意見が多かった一方で、いくつかの制作物については、「もう少し面白くできるのでは」とか、「誰を対象に作っているのかがわかりにくい。もっと対象を絞ってはどうか」といった、コメントもありました。

雑誌にしても展示やビデオにしても、何かを作るという具体的作業は、アイデアがすべて形になるわけではなく、また、多くの手間と時間がかかるものです。時に大急ぎで進めてしまって、後悔することもないわけではない。「何を、何のために、誰に向けて作るのか」。今回のセミナーをきっかけに、常に原点に戻って考えることの大切さを認識しました。

参加者の多くは、実験室で毎日を過ごす大学院生たち。日ごろは、「科学を伝える」ことよりも、「科学を創る」ことに一所懸命の生活を送っています。そんな学生たちにとって、自分たちがやっていることを、社会全般 や専門外の人たちとの関わりの中で考えてみるという経験は、なかなか新鮮なものだったようです。こうした経験をきっかけに、それぞれの立場で「サイエンス・コミュニケーション」について考え、実践していく人が増えてほしい。セミナーが終わったあとも、何人もの人が残って熱心に話をしてくれたり、アンケートにびっしり感想を書いてくれた人も少なくなかったので、期待を込めて、そう思いました。

今回はスケジュールがきつく、議論をする時間が十分に取れませんでした。もっとしっかり議論ができる会をまた企画したいと思います。また、特別の時でなくても、気軽に我々のところへ来てくだされば話をします。熱心だった参加者の皆さんに改めて感謝します。

①研究を表現につなぐ話を研究員とコミュニケーションスタッフが紹介。
②③真剣かつ楽しく。
④懇親会でもコミュニケーション。

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