今号テーマ
生命誌への思い
今回は創刊50号を記念した特別号です。感謝の気持ちを込めて、少しだけ豪華な内容にしました。50号記念として岡田節人名誉顧問との対話、強力応援団の勝木さん、西垣さんとの座談会で、生命誌のこれからを考えました。科学が科学技術に吸収され、じっくり考える場が少なくなっているために、美しくあろうとか日常性を忘れないという当たり前のことが、当たり前でなくなっています。それを再認識して、初心を忘れず挑戦を続けることが大切という示唆を得ました。リサーチは、研究館の6グループの現在をまとめました。ラボセクターは小さなグループですが、発生・進化・生態系を総合的に見る姿勢を忘れず、特徴ある成果をあげつつあります。研究の表現への意欲も高まり、論文はもちろんレクチャーなども積極的に行っています。活用して下さい。SICPセクターは、独自の表現への挑戦の先駆者を自覚し、それを楽しんでいます。サイエンティストライブラリーはお休みです。季刊『生命誌』はトーク、リサーチ、サイエンティストライブラリーを主軸に編集してきました。ホームページを新しくし、これまでの記事の中からwebで呼んで頂けるものが241になりました。これからも増やしていきます。これまでをまとめてみたら、基本は変えず、時代と共に動いてきた生命誌が浮かび上がりました。50号を機とした「生命誌への思い」を受けとめて頂ければ幸いです。
TALK
[知と美の融合を求めて]
生命誌という作品づくり
SPECIAL 50号特別企画
座談会・これからを考える生命誌
学問と日常を一緒に
CARD
関わる
「愛づる」、「語る」、「観る」と動詞で考えてきたここ数年。今年は「関わる」です。生きていることは関わることであると言ってもよいでしょう。DNA、RNA、タンパク質などの生体分子も相互の関わり合いが重要です。「細胞社会」という言葉があるように、細胞はすべて相互に関わり合い、話し合っています。個体も同じです。人間の場合、それに加えて意識して作り出す関わりが大事です。言葉によるコミュニケーションです。しかしこの能力をもつが故に生み出した文明は、皮肉なことに時に関わりを絶ちます。どのような文明をつくり、どう生きることが人間の能力を生かすことになるのか。日常から、そして学問から考えていきます。