1. トップ
  2. 季刊「生命誌」
  3. 生命誌年刊号(書籍)
  4. 生命誌年刊号2002

生命誌年刊号2002「人間ってなに?」

季刊「生命誌」33〜36号の内容を1冊の本にまとめました。

はじめに

生物研究の中心がヒトゲノム解析(塩基配列や機能の解析など)に置かれています。脳研究も重点領域です。生物学が人間理解へと向かっているということです。さりげなくこう書きましたが、これってスゴイことではないでしょうか。生物学の研究対象には人間は入っていませんでした。ミミズ、マウス…、野外での観察や実験室での解剖。人間は人類学、心理学、医学など別の学問の対象だったのです。

生命誌としては人間も40億年近く続く生きものの歴史の中で考えます。ですから、ゲノムから見える他の生物との共通性を大事にするわけですが、でも、人間は人間。他の生物と異なる特徴を持っていることも確かです。それはなにか。特別な根拠があってのことではありませんが、「言語」ではないでしょうか。生物もすべて物質でできていると言っても、単なる物質の集合ではないシステムとしての性質を持っています。そのしかけが「ゲノム」にあるように、他の生物と人間との間の溝を作っているのは、「言語」の産物ではないかと思えるのです。

そこで、情報科学、認知科学、心理学、精神医学と生命誌との接点を探してみたところ、自ずと生まれ出てきた共通認識は、「言語」に近づき、しかもそこからまた「語ること」など、新しい課題をたくさん生みだしました。とにかく、この1年間学んできた過程は楽しかったの一言につきます。それを季刊BRHカードとHPでお届けしましたが、1冊にまとめることで、さらに新しいものが見えてくることを願って、年刊生命誌(Biohistory 2002)を作りました。

中村桂子

『人間って何?』生命誌年刊号 vol.33〜36
中村桂子 編集
(B5版・144ページ)
発行:JT生命誌研究館
発行日:2003年3月20日

もくじ 対話を通して 研究を通して 人を通して
  • 画像をクリックするとサンプルページをPDFファイルでご覧になれます。

掲載記事

年間テーマをWEBで読むことができます。