ちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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のりえずにいたいのに、惑うになりそうで

2015年6月2日

おっしゃることはよく分かるのですが、でもなかなかその通りに行きませんので・・・。お尋ねのメールを送りたい宛先は孔子様です。

十有五にして学に志し
三十にして立ち
四十にして惑わず
五十にして天命を知る
六十にして耳順い
七十にして心の欲するところに従って矩を踰えず

奥手なのでこれの15年遅れくらいではありますが、なるほどこんな感じだなと思います。

30代で生命科学という分野に入り(志し)、40代半ばに生命科学から生命誌という方向を探り(立ち)、50代半ばで生命誌研究館という答を見つけました(惑わず)。その後の天命を知る、耳順うもそうだなあという感じです。そして残るは、心の欲するところに従って矩を踰えずです。確かに欲するところにかなり抑制がかかり始めていますので、こうなるのではないかなと感じています。さすが孔子様、よく人間を見ていらっしゃると思う一方、実は今悩んでいるのです。

ゲノムという切り口で見ていけば、生きものとはなにかが少しづつ見えるはずと期待して生命誌を始めたのですが、研究が進むほどに生きものはおかしな奴だということが次々とわかってきて、なかなか整理がつきません。本気で考えるのなら、もう一度「惑わず」の前に戻らなければならないのではないか。でもそんなことできるだろうか。まさに惑うです。気力と体力が30年前とは違いますから。一番よいのは、私は矩を踰えずにゆったりと過し、元気のある若い人たちが整理してくれることです。期待しています。

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