ちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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【あっという間の満開】

2013年4月1日

中村桂子

一年の中で一番好きな季節はと問われたら2月から3月にかけてと答えます。まだ風は冷たいのに空気がほんの少しだけ柔らかくなって、地面のあちこちにこれもほんの少し緑が見えてくる頃です。電車の窓から見える土手がうっすら緑になっているとほんわかした気持になります。それからは、緑の間に白や黄色、そして赤が混じり、ある日その色がワッと広がる。こうなったら後は自然の力に身をまかせるほかありません。

今年は、この楽しみを奪われた感があり、不完全燃焼です。典型がサクラです。例年になく凍った池の氷がまだ解けないなと思っている中での開花宣言でした。そして、二分咲きも三分咲きもなしに満開です。なんだか気分の乗らないまま、「でも今日行かないと見損なうわね」と言いながら出かけました。本来なら満開の日曜日はさくら祭り。商店街の音頭取りで出店が並ぶのですが、道路脇にあるのは二週間先のお祭りを予告する看板だけです。しかも、気のせいでしょうか、満開の並木が続いているのにどこか華やかさに欠けます。花が喜こんで咲いている感じがしないのです。一緒に行った娘も同じ様子でした。帰り道、「今年は沈丁花が匂わないでしょ」と言われ、確かにそうと気づきました。花も準備不足のうちに咲かされてしまったのかなと思い、追い立てるような生活は人間だけに止めておきたいと思ったものです。本当は人間だって追い立てられない方がよいのですが、それはちょっと諦め気味です。

幸いBRHの桜は、今一分から二分咲き(3/26)、今日は寒いのでちょっとお休みの感じです。この週末には満開になり、通り抜けをお近くの方が楽しんで下さるとよいのですが。

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