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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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【ちょっと疲れました】

2009.12.15 

中村桂子館長
 先回、「仕分け人」のことを書きましたら、たくさんの御意見をいただきました。ありがとうございました。いつもこれくらい書いていただけると張り合いがあるのにと思ったり、そうなったらちょっと大変かなと思ったり。いずれにしても、どれも大事なご指摘でした。
 ここで総括をするべきなのでしょうが、それは毎日新聞のインタビューで語りましたので読んで下さい(12月4日(金)朝刊)。本当にやりたかったことは、まだこれから始まるところでそれがどうなるかの方が気になっています。「学問ベースで議論して大事な研究を選び、それに必要な予算をつける」というシステムができるかどうかです。
 高見の見物でいればよいものを、ちょっとした正義感のようなものに動かされ、こんな劇場型とは思わず参加しましたので、正直ちょっと疲れました。なかでも最も悲しい思いをしたのが、ノーベル賞、フィールズ賞受賞者の記者会見です。これは、なかったこととして頭の中から消したい事柄です。皆さん存じ上げ、尊敬している方たちだけに、泣きたくなりました。お一人お一人社会的立場を踏まえて意見をおっしゃるのは当然あってよいことですが・・・科学と社会とかサイエンス・コミュニケーションと称する活動の浅薄さを見た気がします。
 この話をしていると疲れるので、ちょっと話題を変えます。先週末に淡路島へ行き、土地の方たちに地元のおいしいものを食べさせていただきました。淡路島って、自給率100%以上。お米はおいしい、牛肉も(三田牛、松阪牛の元は皆淡路島なので、最近は淡路牛として売り出し、例の特別の玉ねぎと合わせた牛丼売り込み中だそうです)。タコがあり、タイがあり、ウニがあり、フグがあり(もちろん季節によります)、野菜、果物・・・揚げたタイが一匹入っているタイそうめんをいただきましたが本当においしく、こういうのを豊かというのだと思いました。テーマがスローライフだったので余計気分よく過しました。筑紫哲也さんが残していかれた活動で、増田寛也さんなどと受け継いでいます。
 お金、お金という話を聞き続けていたからでしょう。豊かさや幸せについて考えています(実は経済と幸せの関係について、この間とても興味深いことを教えていただきましたので次回はそれを書きます)。



 【中村桂子】


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