中村桂子のちょっと一言
館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。
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2003.11.1 

【掘りごたつ −私のお気に入り−】
 
中村桂子館長
 10月に入ってからの週末は、お天気がはっきりせず、ちょっと憂うつでした。お天気に左右されやすい性質であることも確かですが、お日様の光がないと、夏物の整理もできません。季節の変りめの週末は、お日様に顔を出してもらわないと予定が狂います。10月19日、日曜日。やっと東京地方は快晴になりました。乾いた秋の空気が心地よく、さあやるぞという気持にさせてくれます。お日様の力はスゴイですね。
 仕事ははかどり、夏の整理だけでなく冬の支度まで手が伸ばせました。スリッパを夏ものから冬ものに変える時に納戸の中でチラッとこたつのカバーを見てしまったのです。ミュージカル“Sound of Music”の中に“My Favorite Things”という歌がありますが、私の好きなものの一つに掘りごたつがあります。子どもの頃に皆が集まる場所だったからということもありますし、何をやるにもゆったりとできるよさがあります。結婚して、小さな家を建てた時、畳の部屋はありませんでしたが寝室の脇に作りつけの本棚と掘りごたつというコーナーを作りました。この組み合わせがあればしめたもの。どうなるかは御想像下さい。掘りごたつのよいところは夏は下から風が入って涼しく、冬は、カバーをかけてヒーターを入れれば足下からポカポカ。座椅子を使えばいわゆる椅子の生活と変わりません。立ち上がる時、ちょっと面倒で、時々ヨイコラショとなりますが慣れてくればこれも運動と思えます。暫く便利さのためにマンション暮らしをしましたが、また土が恋しくなって引っ越し先を探した時、幸い、まさに幸い、小じんまりと手頃なうえに、“My Favorite Things”が詰まっている家があったのです。第一はどこの部屋からも富士山が見えること。その他いろいろありましたが、その一つが掘りごたつ。しかも天板の中央を開けてコンロを置くとお鍋が楽しめるしかけまでついている大型のものでした。前に暮らしていた方が、写真と日本舞踊という芸術家夫婦だったので、ちょっとライフスタイルが違い(桧舞台があったりしました)、平凡な暮らし用に改装しましたが、堀りごたつはもちろんいただき。食事も読書も原稿書きも・・・ほとんどがここになってしまいました。夏は普通のテーブルクロス、冬はキルトで覆ってヒーター。エアコンは年のうち数えるほどしか使わず快適です。説明が長くなりましたがキルトを引っ張り出して、夏のクロスをお洗濯。これだけで部屋の雰囲気がまったく変って冬が来ても大丈夫という感じになりました。季節によって、自然だけでなく家の中も変るこの生活の変化がなかったらやはりつまらないだろうなと思いながら、ちょっと暖かい感じになった(もちろんヒーターはまだ入れていません)掘りごたつでこれを書いています。


【中村桂子】


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