中村桂子のちょっと一言
館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。
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2003.9.1 

【ワキアイアイ・・・漢字で書けますか?】
 
中村桂子館長
 8月下旬に恒例のサマースクールを行いました。研究館の中の実験室グループ、サイエンスコミュニケーション&プロダクションと名付けた表現グループそれぞれの日常の中に入って一緒に実験したり、ものづくりをして生きものの面白さを知る・・・というのが看板ですが、生徒さんたちがDNAやショウジョウバエの幼虫やチョウの脚など小さな世界を扱う実験で手先に集中している様子は「生きものと格闘している」という方があたっていました。格闘して初めて面白みがわかってくる。確かに皆さん楽しそうでした。生徒さんと書きましたが、中学生から70才を越えた主婦の方まで、大学生、大学院生、高校の先生と年齢も職業もいろいろ。男女も適当に混じり合って。まさに私たちのコンセプト「関心を持てば誰でも楽しめる」の現実版でした。
 お弁当の時間、隣に坐った大学院の学生さんに、「どうしてここはこんなに皆が和気藹々としているのですか。学生もいるのに」と聞かれました。和気藹々。久しぶりで聞いた言葉です。第一この字、自分では書けません(こういう時、パソコン、ワープロのありがたみがわかりますね)。確かに、皆、大らかで明るい人たちばかり、ギスギスしたところがありません。もちろん、一人一人悩みがないわけではありませんし、組織としても誰もが満足できるという対応をするのは難しいですから、解決できることは解決するようにはしていても、問題がないわけではありません(多分、天国にだって問題はあるだろうと・・・こんなこと言うと知らない奴のたわ言と叱られるかな)。でも、人を出し抜くとかいじめるとか、そういう雰囲気がないことは確かです。
 和気藹々。折角言っていただけたので、決してのんびりではなく、単なる仲良しクラブのなあなあではなく、ポジティブな力としてのこの雰囲気を大事にしていこうと思いました。
 できることなら、社会全体がこうだといいと思っていますが、こんなこと通用しなくなったようですね。
 基本的に大事と思うことを共有していれば個別の関心はそれぞれ違っていても、お互いを認め合えるのだと思います。競争も、そのような共有がある中での競争であれば気持のよいものになるでしょう。スポーツがそうです。そうでなければ他人を蹴落とすだけのものになってしまいます。
 よく言われますけれど、何をやるにしても大事なのは人。幸い、素晴らしい仲間(それも、主として20代、30代の人たち)と一緒に暮らし、仕事ができる幸せを改めて噛みしめました。思いがけず和気藹々という言葉を耳にして。
 昨日(8月23日)家のどこかでコオロギが鳴いていました。秋かなと思ったら今朝はミンミン蝉が夏だぞと鳴いていた。今年は最初に聞いた蝉がカナカナで、今頃やっとミンミンが盛ん。この変な気候に昆虫も楽じゃないですね。



【中村桂子】


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