西川伸一顧問のご挨拶

ご挨拶

西川伸一2016年が始まりました。昨年の挨拶を読み返すと、やろうと思ったことがほとんどできていないことに唖然とします。書き始めた本ですが、当分完成しそうにありません。近代科学の始まりから、ダーウィン、シャノン、そしてヒトゲノム解読までは筆も順調に進みました。しかし、これからやってくる21世紀の生命科学を書く段になって急に歩みが遅くなっています。これはアイデアが尽きたわけではありません。3年顧問室に座って読んだり書いたりしていると、頭は冴えて来ます。最初、未来について引退した人間が書くのは無理ではないかと考えていましたが、今は十分書けるという自信が湧いています。そのおかげで今年から講演を頼まれると、「21世紀の生命科学:デカルトとダーウィンの残した課題」「The Life science of the 21st Century: left by Descartes and Darwin」というタイトルを掲げて、まだ見ぬ21世紀話をしています。

ただ、未来のこととはいえ科学の話ですから、考えたことが本当に可能かどうか検証の必要があります。このためにはこれまでとは全く異なる分野の論文を読まなければなりません。これに多くの時間がかかっています。でも作業が膨大で時間はかかっても、楽しい作業で、検証は着実に進んでいます。昨年の秋から、この検証作業で学んだことを、このホームページ「語り合う」の「進化研究を覗く」コーナーに、「ゲノムを考える」として少しづつ書き止めています。現在は無生物から生物が生まれるまでための条件や法則について書いています。ここに書き記すことは、21世紀の生物学の構想には欠かせないと思っています。

このコーナーの性格が変わってしまったため、「できるだけわかりやすく進化研究を」と最初スタートしたにもかかわらず、内容が難しくなって、どうしても生物学の専門教育を受けた人たちが対象になってしまいました。私の力不足で、今書いている内容をそのまま一般の人にも理解してもらうまでには至りません。ただ、「21世紀の生命科学:デカルトとダーウィンの残した課題」としてまとめる時には、もう少しわかりやすく書こうと思っています。

このように、今年の顧問室の歩みは、難解かもしれませんが、ホームページ「語り合う」の「進化研究を覗く」に記していこうと思っています。ぜひ21世紀の生命科学を担おうとする若い人たちに読んで欲しいと願っています。また感想や意見があれば遠慮なく生命誌の広場にお寄せください。お待ちしています。

2016年2月1日
JT生命誌研究館顧問 西川伸一

プロフィール

JT生命誌研究館顧問
滋賀県出身 1948年生まれ
思想家(になりたいと思っている) 京都大学医学部卒
熊本大学医学部形態発生部門教授、京都大学医学研究科分子遺伝学部門教授、理研発生再生科学総合研究センターグループディレクターを経て、現在に至る。
現在の生き方の柱は、「20世紀から早く離脱し、21世紀にコミットする」ことで、科学だけではなく、社会運動も含めた総合的な活動を体が動く間は推し進めたい。

著書、訳書

  • 『生物のなかの時間』 (PHPサイエンス)
  • 『幹細胞Wars』 シンシアフォックス著(一灯舎)

トーク〜対話を通して
「新しい知のあり方を求めて」西川伸一×中村桂子

季刊生命誌81号では中村館長と西川顧問が生命誌のこれからについて語り合いました。

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