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2024.09.18

ナミアゲハの越冬蛹について

ポケット

先日そちらに行かせて頂いた時に受付の方に、こちらのコーナーで質問を受けて下さるとお聞きしました。
よろしくお願いします。

うちには私の管理間違いのために6月23日から8月にかけて越冬蛹になったナミアゲハの蛹が何匹かおります。このまま何もなく春に羽化してくれればよいのですが、そうなると越冬蛹として長いもので9か月ぐらい過ごすことになり、そんなに長い間越冬蛹としておれるのかも分かりません。
「春までまたずに冬に羽化してしまうという事にならない為にどうしたらいいのか」ということを知りたいと思っています。

普通なら何もしなくてもいいと思うのですが、越冬蛹として暑い期間を1~3か月間位過ごし、越冬蛹の期間が通常よりも長いと、寒くても春まで待たずに羽化してしまわないか心配しています。
そうならないために気温が下がりはじめた頃に冷蔵庫に暖かくなる春まで入れた方が良いのかとも思いますが、暑い期間を1~3か月を過ごした越冬蛹を、ある程度成虫になっていると思われるものを、春までという長い間冷蔵庫に入れることはそれなりに死ぬ個体もでてくる危険性があるのでしょうか…、経験や知識がないためにどうしたらよいのか分かりません。
私は神戸市に住んでいます。今年の春にうちで羽化した越冬蛹は6か月位で羽化をしました。越冬蛹は長くて何か月ぐらい羽化までそのままでいられるものなのでしょうか。
私の管理ミスのためお手数をおかけして勝手なお願いをして申し訳ありません。もしアドバイスを頂けますならありがたく思います。
どうか宜しくお願いします。

2024.09.18

1. 尾崎克久(昆虫食性進化研究室)

休眠した蛹が無事に羽化できるかご心配されているとのことですが、見守るのが最適です。

若齢幼虫期に短日条件(暗い時間が長い)を経験すると、休眠蛹になります。
休眠した蛹は基本的に、一定期間の寒さを経験するまでは発育が停止します。内分泌器官の働きによる自発的な活動停止なので、寒いから活動できないという状態とは異なる生命活動です。

休眠の消去には一定期間の低温が必要とされています。生息している地域にもよりますが、4℃以下の低温を30〜120日経験する必要があります。神戸のあたりでしたら、90〜120日程度必要になると思います。

実験用の蝶たちを長期間保存したい場合には、休眠させて冷蔵庫に保管する場合もあります。冷蔵庫で2〜3年程度保存可能ですが、保存期間が長くなると生存率が低下する傾向があります。冷蔵庫に入れる場合は、乾燥しないように注意が必要です。

最もおすすめなのは、暑さが厳しい期間は室内に保管して、涼しくなってから日光が当たらない屋外に休眠蛹を置くのが良いと思います。日光が当たるとかなり温まってしまいますので、お気をつけください。屋外で十分な寒さを経験して休眠が覚めると、春の気温上昇で発育を開始します。これにより、成虫が出る時期がおおよそ揃うことで、無事に羽化した際に交尾相手を見つけることができると考えられています。

以上、ご参考になりましたら幸いです。

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