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みんなの広場

生命誌について

2023.07.10

Qブックスを読んで、先の先

参照記事「研究館より」

こう

私は“生命誌とは何か”を拝読していましたので
この本で着目したお話は“解決が難しい課題に共通する問題点
と解決方向への道”です。

私は“武士の家計簿”の磯田道史先生(日文研)の信条
“歴史を調べ・今を歩いて・明日を考える”という中村先生の
姿勢と重なる言葉に共感しています。

今、研究館では理系教員へのノウハウ提供やアドベンチャー
ワールドとの提携等シーズアウトで社会貢献を試みておられま
すが、先の先ではニーズイン志向での貢献も視野に入れてはと
思います。例えば、ご指摘のいじめなど深刻な社会課題。
“自殺するまで追い詰める・追い詰められて自殺する”生きもの
っているでしょうか。これは真剣に向き合うべき社会課題です。
でも、小手先では何ともならず、根本的なアプローチが必須です
が、様々な課題解決に取り組んでいる方達のために
生きものの進化と繁栄のキーワード“共通性と多様性”など
様々な事情に応じて自主的に課題解決アプローチの
立案と実施に取り組む意欲が湧くまでを明解にまとめ
提供・支援されてはどうかと思います。

大阪・豊中・社協の勝部麗子氏は“声なき貧困”に向き合い、一人
も取りこぼさない社会を目指し、地域住民や行政と力を合わせて
活動。NHKプロフェッショナルでその地道な活動が全国に知れ
渡りました。が、そんなことは余程の想い入れと解決への執着・
熱意がなければできるものではありません。

ではどうするか。そのために不可欠なことは、その方々の心根に
“真摯に取り組めば必ず解決する”という確信を育むこと。
それには、生活誌の知・生命誌絵巻の中から目線で語る“生きもの
の摂理の話”が極めて有効と考えています。

“辛いけど美味い”ちりめん山椒のような生活誌発信が
“蛙飛びこむ水の音”のように静かに波打って拡がってゆくこと
を楽しみにしています。

2023.07.14

1. 中村桂子(名誉館長)

こう様
 Qブックスをお読み下さりありがとうございます。科学は魅力的な知ですが、
「このままでいいのかな?」であることも確かですので、この問いは続けて
いきます。そのために「誌」を始めたのですから。研究館が直接社会的問題
に取り組むのは難しいですが、30周年の会で触れましたように、農業、土木
など社会の基本になる分野の方たちが生命誌に賛同し、仕事をその方向に
向けて下さるということが起きています。それをお手伝いすることで新しい
動きが生まれることを願っています。
                       中村桂子

2023.07.19

2. こう

中村先生

 Qブックスに関し、ご参考を2つご紹介させて頂きます。

①文理共創を掲げる東工大・文化人類学の上田紀行先生は、
 学校・会社・地域・SNS等いたるところで起きている
 いじめの分析と防止・根絶の対処策の立案を目指して
 「いじめゼロ!」プロジェクトを立ち上げたそうです。
 文系理系を越えて総力を結集するとのご本人の言葉で
 どのように考えを編んで行くのか興味のあるところです。

②便利はとても良い・・・だろうか、に関して
 工学の世界でも同様の疑問を持つ方がおられます。
 川上浩司先生(現・京都先端科学大、元・京都大)は
 恩師・片井修先生の自然と人為の共生をテーマとした
 “共生のための脱システム論の探求・不便益の提唱”
 を受け、マトリクスに便利の益・害、不便の益・害を
 置いて睨み 事例を集め 不便益を取り入れた生活道具
 ・空間などを研究されており、年に数回開催されている
 研究会には私も参加しご意見させて頂いています。
 

2023.07.19

3. 中村桂子(名誉館長)

こう様
 両先生のお仕事それぞれ興味深いです。
「いじめゼロ」というのが文系の方の発想だなと思います。
生命誌で考えると「ゼロ」という言葉は出ませんので。   
          中村桂子

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