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みんなの広場

研究

2023.06.21

集大成論文を拝見して

T.N.

集大成ともいえる論文の完成、おめでとうございます。
論文は S&Z モデルから始まっているので、すんなりと、ここに到達されたようにも見えてしまいますが、2009年(?)に初めてBRHでの研究員レクチャーに参加してからの、その時々の実験の紹介を思い出しながら拝読しました。ケラーサンドイッチ、胞胚腔を生体染色する実験、ビーズを挟み込む実験などなど。 研究館でニワトリ胚の原条形成の動画を繰り返して拝見している時に、「カエルと同じや!」と思った時の感動も思い出されます。
橋本さんの実験のお話を伺い、自分で納得し、「中軸中胚葉は遡らない」について大学の先生方に話したときに返ってきた言葉も思い出されます。「ああ、あの変わった人が言っている話」と言って、「ほら、ちゃんと遡っているでしょ」と、共焦点顕微鏡のムービーを見せられました。帰宅後、その説明を読むと、固定胚を用いた実験と書かれていました。
CDBで「発生」に関する高校教員対象の研修会に参加した後の懇親会で橋本論文の話をすると、著名な先生からは「中道さん、まだしつこく言ってるの?」の一言が返ってきました。Xenopus を材料に研究をされている若い研究者からは「まあ、論分なんて、いろいろあるからさ」と軽くかわされてしまいました。私の説明の稚拙さもあったかとは思いますが、当人でなくても随分悔しい思いをしたことも思い出されます。
そんな中にあって、今回の集大成の論文が出たこと、本当に嬉しく心よりお慶び申し上げます。研究者でもない、一介の元高校教師のことばとしては僭越とも思いますが・・。
BRHでの、研究員レクチャーでの別のトピック、ことばの意味論も楽しく伺いました。私がお話を完全に理解できていたとは思えませんが「ことばは ア・プリオリには存在しない」ということを再認識する機会となりました。

2023.06.21

1. 橋本主税(形態形成研究室)

T.N.さま

メッセージを拝読いたしました。

仰せの通りで、いつまで経っても誰からも認められない「新モデル(もはや新とは言えないくらいの時が経ちましたが)」が、いかにしたら世に認めてもらえるのか?少なくとも議論の俎上に上げてもらえるのか?この20年間頑張ってきました。

別々の画像を恣意的に並べた動画を正常発生だと思い込み、それを根拠に橋本モデルを頭ごなしに否定する研究者もおられました。そもそも実験結果すらご覧になることなく、思い込みで批判された経験も数知れずです。お書きいただいたように「悔しい思い」は何度もしました。

ただ、セミナーやレクチャーで橋本のデータを実際にご覧いただいた方からは肯定的なご意見を頂戴してきましたし、中道さんのように、橋本モデルを信じて「布教活動」してくださる方もいらっしゃいます。こういう経験が勇気づけてくれます。そういう皆さまの応援があってこその今回の論文だと考えております。

今年で研究生活は終わりますが、振り返ってみてまずまず幸せな研究者人生だったと思っています。中道さんをはじめ多くの人にたくさんの応援をいただきました。どうもありがとうございました。

メンデルのように死後ではなく、橋本が生きているうちに教科書が変わってくれたらいいのですが・・・。

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