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みんなの広場

研究

2023.03.15

発生生物学

ミッキー

近藤寿人先生の「発生生物学の静かな革命」を勉強しました。
VOL1のオーガナイザー因子や、VOL2のNMP (神経・中胚葉前駆体)についての正しい理解を学びました。VOL3では幹細胞である筋芽細胞が細胞分裂を繰り返しながら、並行して細胞分化を進め骨格筋ができてゆく姿を見て、「分裂と分化」について考えました。
VOL4では、
1.両生類胚の胞胚期の外胚葉組織(鳥類哺乳類のエピブラストに相当)にはその場所にかかわらず神経系を作る能力がある。しかしその神経系発生の能力(SOX2などの遺伝子の発現)はBMPシグナル因子によって抑えられている。コーディンタンパク質は胚発生の適切なタイミングで、胚の場所を限定し、そのBMPによる抑制を解除して、潜在的であった神経系の発生を実施させる。「抑制」と「脱抑制(活性化)」の絶妙な兼ね合いで発生は進められていることを知りました。
2.マウスの指の発生では、ショウジョウバエでの研究が脊椎動物の研究に大変貢献していることを知りました。Gli1/2/3転写因子はソニックヘッジシグナル(Shh)の強度に応じて転写活性を調整しますが、Gli2/3転写因子はDNA結合領域の両側に、転写活性化ドメインと転写抑制ドメインを併せ持つことに驚きました。
3.さらに、抑制転写因子として働くGli3 (mRNA)を分解し、その働きを抑えるマイクロRNA (miRNA)が発現されること。多くのmRNAはその非翻訳領域に自身を分解するmiRNAの相補的配列を持っているなど、実に複雑な機構が働いていることを知りました。

多くのことを学び、同時に多くの疑問や不思議が生まれました。理解できなかったことも多くあったので、間違いなどご指摘いただければ幸いです。VOL5も楽しみにしています。近藤先生のご活躍を祈っています。ありがとう御座いました。

2023.03.22

1. 近藤寿人(顧問)

丁寧に読んでいただきありがとうございます。

発生生物学では、色々なことについて理解が進んできています。すると、これまで常識のように思われていたことが覆ることも少なくありません。この現状が、一般の読者の皆様のみならず、高校・大学の教育のなかでもうまく(正しい組み立ての中で)伝えられていないことを残念に思い、執筆を始めました。専門家の方々であっても、狭い専門には長けていても、現代の研究の発展がもたらすものの全体像にはついて行っておられるとは限らず、その方々へのささやかなメッセージも重ねています。

説明なしで専門用語を用いることことはできるだけ避けながら、正しい科学の筋道をご理解いただけるように努めていますが、筆が至らぬ点はご容赦ください。一方で、どんなことが発生生物学の先端で研究されているのか?1930年代に遡る過去の研究の知恵が、現代の目からどのように評価されるのか?といったことについても、お伝えしたいと考えています。

ですから、第4回目などは、少し意識的にかなり深いところーー生き物が採用しているいろいろな仕組みや作戦の巧妙さという意味での深さーーをも、紹介させていただきました。いささか歯ごたえがあったと思います。

これからしばらくは、生き物の深さ=巧妙さは感じていただきつつ、できるだけ肩の凝らない話題をとりあげていくつもりです。

お付き合いいただければ幸いです。

近藤寿人

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