研究
2022.08.18
発生生物学と生きものの時間
ミッキー
「ゲノムが刻む生きものの時間」は本文に、関連する9の研究と解説を埋め込んだユニークな構成で、全体がより深く理解できる仕組みが素晴らしいと思いました。
特に印象深い記事は
①受精卵の時、父由来のミトコンドリアゲノムがオートファジーによって分解されることに驚きました。
受精卵にオートファゴソームが発現するのなら、
②エピブラストやハイポブラストの時、小胞体やゴルジ体、中央分泌経路などの細胞構造は完成している状態なのでしょうか。
③ゲノムの転写を制御する仕組みとして、エピジェネティクスに加えて、トポロジカルドメイン(TAD)構造があり、エンハンサーによる遺伝子の転写活性を巧みに調整することを知りました。ゲノム上にはTAD内の個々のループの起点を作る境界エレメントの配列が散らばり、コヒーシンと呼ばれるリング型タンパク質がそこにDNAを手繰り寄せ結びを作ることによって効率的なTAD転写空間を作る仕組みがあることを知りました。
④脳(マウス胎児)の発生では、新生ニューロンが表層に向かって移動しサブプレートの位置で止まり次々と重なって6つの層を造ること。きっちり6層で完結するのは、この時にサブプレートが消えることと関係がある気がします。
⑤Fox遺伝子のコリニアリティの活性化は、ひとつひとつが順番にオン/オフするのではなく、若い方から順にオンになり追加されていくということに驚きました。
⑥近藤顧問の「発生生物学の静かな革命VOL.1」は、オーガナイザーに関して教科書にも載っていた間違った理解を正された研究が素晴らしいと思いました。解析動画で、GFPで緑に標識されたエピブラスト細胞が、胚の中心線方向に移動し集まって胚ができ脳が発生する動画が好きです。生きものの不思議を感じ、繰り返し眺めては神秘的な気分に浸っています。
発生生物学は面白い、もっと勉強したいと思いました。ありがとうございます。
2022.08.18
1. 齊藤わか(表現を通して生きものを考えるセクター)
掲載が遅くなり、申し訳ございません!
季刊「生命誌」108号「ゲノムが刻む生きものの時間」の記事は、最新の知見とこれまでの記事の蓄積を組み合わせた、スタッフ渾身の構成ですので、丁寧にお読みいただき大変嬉しく思います。TADのしくみとHoxのはたらき方をしった時は、私もスゴイ!と思いました。DNAや転写因子などの分子が、物質として柔軟に形を変えながらはたらいていること、ゲノムの形(DNA上の遺伝子の並び)が多細胞の体の形に投影されていくようすが実感できた気がして嬉しかったです。
GFPで細胞を緑に染めたニワトリ胚の動画は、細胞一つひとつの挙動が見えるのがとても興味深いですね。脳や神経って、こんなにはるばる細胞が移動してきてできるんだと改めて思いました。胚発生という、こんなおかしなことをする「多細胞生物」って一体なんだろう・・・自分も多細胞生物ではありますが、考えずにはいられませんよね。もっと学んでみたいという意欲、素晴らしいです!面白い発見をされましたら、いつでも書き込んでください。